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2015年12月のネット炎上件数は126件、前年比57%増~炎上の原因に画像や動画があると拡散スピードが早い傾向

[2016/1/7 12:51]

 ビッグデータを解析してリスク検知を行うソリューションビジネスを手掛ける株式会社エルテスが、2015年12月のネット炎上についてまとめた、「ネット炎上速報2015年12月版」を発表しました。

 ネット炎上速報は、株式会社エルテスが前月のネット炎上件数を独自に算出し発表しているもの。Twitterで50回以上のリツイートがされ、特定のまとめサイトにまとめられたものを対象に、ビッグデータ解析をもとに“炎上”と認定できる件数をレポートしています。

 炎上レポートによると、2015年12月のネット炎上件数は前年同月比57%増の126件で、2015年では最多。

 件数が多いことで炎上原因は多岐にわたりますが、特に多かったのは「失言」による炎上とのこと。最も多かったのが政治家のTwitter上の発言で38%を占め、次いで芸能人が19%、企業のSNS公式アカウントが12%となっています。

 レポートでは、近年、宣伝目的でSNS運用を始める企業が増える一方で、失言や誤操作などによる炎上も増加傾向にあると指摘しています。

 また、炎上レポートでは、トピックスとして美濃加茂市のポスターを取り上げて分析。美濃加茂市では、ライトノベルが原作のアニメ「のうりん」のキャラクターを観光ポスターに起用しましたが、いろいろなキャラクターがいる中で巨乳設定のキャラ「良田胡蝶」の胸が強調された画像を中央にあしらったことでTwitterなどで話題になり、「セクハラ」「人権侵害」などの批判を受けました。

 レポートでは、企業や団体の宣伝に使われる画像や動画(ネットCM動画など)が炎上するケースが増加していますが、ほとんどの場合において発信者に悪意はなく、ただその表現方法が「不快」「差別的」であると捉えた個人の投稿が拡散して、炎上したものと分析しています。

 不快である、差別的であるといった認識には個人差があるため、「不快と感じない」と擁護する人も多いものの、ネガティブな話題としてネット上で盛り上がることで、発信した企業や団体に悪影響を及ぼすとして、「認識の個人差」があるネタを取り上げるリスクを説明しています。

 また、「のうりん」ポスターのように画像や動画自体が炎上したものは拡散力が高い傾向にあると指摘。視覚に訴えるため印象が強く、文章を細かく読まなくても炎上の概要がわかるため拡散のスピードが速いとしています。

 さらに、画像や動画では日本語のわからない外国人でも理解できてしまうため、企業・団体の宣伝用の画像や動画などが炎上したケースでは世界的に批判され、大炎上へと繋がるおそれがあると指摘。

 「認識の個人差」が大きく不快感を抱く人がいると予想される画像や動画を宣伝目的で使うのはリスクが大きい、ということになりそうです。ただし、“炎上商法”という言葉があるように、本来であればさほど注目されなかったと思われるキャンペーンが炎上拡散により結果として多くの人の目に止まる、という面も。美濃加茂市も結果的にポスターを撤去することになりましたが、市の名前を広くアピールするという点では予定外の成功をしたと言えるかもしれません。

[工藤ひろえ]