IT・スマホ

ファイル共有ソフト「Share」ユーザーの発信者情報開示を求めていた日本レコード協会会員社、4つの裁判すべてで勝訴。違法アップローダーの情報開示を命じる判決が下る

[2018/7/25 15:10]

 日本レコード協会は、音楽ファイルを継続的かつ大量に違法アップロードしていたファイル共有ソフト「Share」ユーザーの発信者情報開示を求めてプロバイダーを訴えていた裁判で勝訴したと発表しました。

 日本レコード協会の会員社は、インターネットサービスプロバイダー10社を対象に、ファイル共有ソフト「Share」を利用して著作権者の許諾なくアップロード(公開)している者に対して著作隣接権(送信可能化権)侵害を理由とする損害賠償請求等を行うため、「プロバイダ責任制限法」第4条1項に基づき、該当者23名の氏名・住所・電子メールアドレスの開示を2017年10月より求めていました。

 23名中14名についてはプロバイダーから任意に発信者情報が開示されましたが、KDDI株式会社、ソフトバンク株式会社、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社、株式会社愛媛CATVについては、発信者情報の開示に応じませんでした。

 このため、日本レコード協会会員レコード会社は、今年3月から4月にかけて、東京地方裁判所、松山地方裁判所に発信者情報開示請求訴訟を提起。7月19日に、東京地方裁判所がKDDI株式会社に対して開示を命令する判決を下したことで、全てのプロバイダーに対する開示請求訴訟に勝訴しました。

 判決が下った日と、開示命令が下った利用者の人数は以下の通り。

5月25日 ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社 1名
6月15日 ソフトバンク株式会社 5名
6月20日 株式会社愛媛CATV 1名
7月29日 KDDI株式会社 2名

 日本レコード協会会員のレコード会社は、開示された発信者情報に基づき、代理人弁護士を通じて違法アップローダーとの間で「今後著作権侵害をしない旨の誓約」および「損害賠償金の支払い」に関する協議を随時進めているとのこと。

 日本レコード協会と会員社は、2013年から毎年、ファイル共有ソフトを利用した違法アップローダーの発信者情報開示請求を実施。2018年7月25日までに、43名と損害賠償支払い等による和解をしています。

 今回の発表でわかる通り、音楽ファイルの違法アップロードは、損害賠償を求められる恐れがあります。今回の発表資料に「大量の音楽ファイルを継続して」という文言がある通り、継続的に多くのファイルを違法アップロードしている場合は、悪質と判断され、法的に損害賠償を迫られる可能性が大。

 今回のように損害賠償という民事解決だけでなく、刑事告訴される可能性もあります。著作権法では、権利侵害罪として10年以下の懲役と1,000万円以下の罰金のいずれか、またはその双方を科すという罰則が設けられていて、軽い罪ではありません。

 刑事告訴が受理されると警察の捜査が始まり、自宅などに強制捜査が入ってご近所に顔向けできないことになる可能性も。違法アップロードをしても、自身には何のメリットもありません。違法アップロードはデメリットしかない行為であることを、家族や友人に伝えておくことも大事です。

[工藤ひろえ]