GMOが仮想通貨マイニング事業で特損約380億円を計上 マイニングマシン開発・製造・販売から撤退~仮想通貨価格下落などで自社マイニング事業の収益性が悪化
GMOインターネット株式会社が25日、取締役会で2018年12月期第4四半期決算(2018年10月1日~2018年12月31日)に、仮想通貨マイニング事業に係る特別損失を計上することを決議したと発表しました。
【内容】
(連結)
(1) 自社マイニング事業 減損損失など 約115億円
(2) マイニングマシンの開発・製造・販売事業 債権譲渡損など 約240億円
合計 約 355 億円
【個別】
(1) 自社マイニング事業 子会社株式売却損など 約140億円
(2) マイニングマシンの開発・製造・販売事業 債権譲渡損など 約240億円
合計 約380億円
同社グループは2017年12月に、同社の100%子会社である統括法人GMO-Z.com Switzerland AG(スイス法人)と、その傘下の外国法人2社(いずれも100%孫会社)で、マイニングセンターの運営を行なう自社マイニング事業を開始し、ハッシュレートを上昇させてきたとのこと。
しかし、仮想通貨価格の下落、想定を上回るグローバルハッシュレートの上昇により想定通りのマイニングシェアが得られなかったこともあり、同社グループの自社マイニング事業の収益性は悪化。こうした事業環境の変化を踏まえ、同社では「当該事業に関連する事業用資産の簿価の全額を回収することは困難と判断し、特別損失を計上することにした」としています。
連結決算では、外国法人2社が保有する事業用資産につき、見積もり将来キャッシュ・フローの現在価値の算定結果を踏まえ、減損損失など約115億円を計上。また、個別決算ではスイス法人撤退に伴う子会社株式売却損など約140億円を計上するとのこと
また、同社は、2017年9月7日付適時開示「新たな事業(仮想通貨の採掘(ビットコインマイニング)事業)の開始に関するお知らせ」を公開し、マイニングマシンの開発・製造・販売事業を開始。半導体チップのデザイン、製造、組み立てと製造プロセスを進めていましたが、マイニングマシン市場は、仮想通貨価格の下落を受けた需要の減少、販売価格の下落により競争環境の厳しさが増しているとのこと。
こうした事業環境の変化を踏まえ、同該事業に関連する資産を外部販売により回収することは困難と判断し、開発・製造・販売を中止することにより、特別損失を計上することにしたとしています。連結・個別決算で、債権譲渡損約175億円、貸倒引当金繰入約35億円を含む、合計約240億円を特別損失として計上。
マイニングマシンの購入のために製造に係る資金を開発会社に支払っており、財務諸表では前渡金として処理されており、債権譲渡等の主な内容はその前渡金となります。なお、債権譲渡については、谷電機工業株式会社が保有するSPCである合同会社MP18に譲渡されますが、譲渡価額については、相手先との守秘義務に基づき非開示としています。
自社でのマイニング事業は、マイニングマシンの減価償却費、電力代が主な営業費用となり、この点、減価償却費については、今回の減損損失の計上により償却性資産の簿価を大きく切り下げるため減少する見通し。なお、第3四半期における当該償却費(3カ月間合計)は8.8億円に相当します。業績に与える影響額の詳細については決まり次第開示いたします。また、電力代については、マイニングセンターをより安価な電力の調達が可能な地域へ移転を検討しているとのこと。収益構造を再構築した上で、同社を統括法人として継続するとしています。
なお、マイニングマシンの開発・製造・販売事業については今後は行なわないとしています。