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契約書にハンコがなくても影響はない 政府が「押印についてのQ&A」を公開~文書の成立の真正を証明はメールや身分証明書画像の保存、PDFパスワードの別経路の伝達などで可能

[2020/6/22 08:32]

 内閣府、法務省、経済産業省が19日、「押印についてのQ&A」を公開。民間企業や官民の取引の契約書で必ずしも押印が必要ないとの見解を初めて示しました。

 「私法上、契約は当事者の意思の合致により、成立するものであり、書面の作成及びその書面への押印は、特段の定めがある場合を除き、必要な要件とはされておらず、特段の定めがある場合を除き、契約に当たり、押印をしなくても、契約の効力に影響は生じない」と解説しています。

 また、文書の成立の真正を証明する手段を確保する方法も紹介しています。

【1.継続的な取引関係がある場合】
 ・取引先とのメールのメールアドレス・本文及び日時等、送受信記録の保存
  (請求書、納品書、検収書、領収書、確認書等は、このような方法の保存のみでも、文書の成立の真正が認められる重要な一事情になり得ると考えられる)

【2.新規に取引関係に入る場合】
 ・契約締結前段階での本人確認情報(氏名・住所等及びその根拠資料としての運転免許証など)の記録・保存

 ・本人確認情報の入手過程(郵送受付やメールでのPDF送付)の記録・保存

 ・文書や契約の成立過程(メールやSNS上のやり取り)の保存

【3.電子署名や電子認証サービスの活用】

 ・利用時のログイン ID・日時や認証結果などを記録・保存できるサービスを含む

 上記1.、2.については、文書の成立の真正が争われた場合であっても、メールにより契約を締結することを事前に合意した場合の当該合意の保存、PDFにパスワードを設定、PDFのパスワードを携帯電話等の別経路で伝達複数者宛のメール送信(担当者に加え、法務担当部長や取締役等の決裁権者を宛先に含める等)、PDFを含む送信メール及びその送受信記録の長期保存などの方法で、立証が更に容易になり得ると考えられるとしており、それ以外にも、技術進歩によりさらに多様化していくことが想定されるとしています。

[古川 敦]