Kindleストアの最安値マッチングが5年間停止! 「同等性条件」に自発的な措置を講じると公取委に報告~「ブラックジャックによろちんこ」で問題に
公正取引委員会が15日、Amazon.co.jp上で電子書籍の配信事業を行なっている「アマゾン・サービシズ・インターナショナル・インク」(ASII)から、同サイト上で配信される電子書籍に関する出版社及び流通業者との間の契約(電子書籍関連契約)で定められていた、他社ストアでより安く販売している作品はAmazonの独断で価格を下げるなどの「同等性条件」について、自発的な措置を講じるとの報告を受けたと発表しました。
Amazon.co.jpで電子書籍を販売する場合、契約条項の中に「同等性条件」として、電子書籍の価格、出版社などのASIIに対する卸売価格、販売促進用の小売価格、卸売価格及びコンテンツ、品揃え、ビジネスモデル(例:定額配信やレンタル)、機能(例:操作性)を含む事項で、ほかの電子書籍配信事業者または、同事業者が運営する電子書籍配信プラットフォームとの同等性を義務付ける内容が含まれています。
この同等性条項については、佐藤秀峰氏の「ブラックジャックによろしく」が7月26日(水)に、Amazon側が無断で価格を0円に変更したことで一般にも広く知られるようになりました。この価格変更の理由としてAmazon側が、佐藤氏に「他のサイトで無料で配信されてるからそれに合わせて無料化(プライスマッチという)したそうで、お金も払う気ない」と回答したとして話題になりました。
佐藤秀峰氏によればKidle版は「生原稿から製版所でデータ化してトリミング、リサイズしたもので、画質が良い」ということで別物で、他ストアと異なりKindle KDPは佐藤秀峰氏自身が配信しているため配信者と違うとして、7月28日(土)に対抗策としてタイトルを「ブラックジャックによろちんこ」に変更して配信。
しかしながら、タイトルを修正するまで当該作品を販売中止にするというメールがAmazonから来たとのことで。8月16日(水)現在でも、「ブラックジャックによろちんこ」シリーズは「調査中の商品」と表示され、購入できなくなっています。
公正取引委員会では、電子書籍配信事業者が出版社などに同等性条件を課す場合、「他の取引における電子書籍の価格の引下げやサービスの向上を制限するなど、出版社などの事業活動を制限する効果」や、「電子書籍配信事業者による競争上の努力を要することなく、電子書籍の価格を最も安くし、サービスを最も良くするなど競争を歪める効果」、「取引条件の向上が出版社などによる電子書籍の価格の引下げやサービスの向上につながらなくなるなどイノベーション意欲や新規参入を阻害する効果」などが懸念されるとしています。
今回、ASIIが報告した自発的な措置は「本件同等性条件に係る出版社等の義務に係る規定を行使しない」、「平成29年8月4日までに行使しない旨を出版社等に通知する」、「以降に締結する電子書籍関連契約において,本件同等性条件を定めない」とし、これらの措置を最低5年間実施するとしています。
公正取引委員会は、本件同等性条件以外の条件が変更される場合には、その変更が出版社等にとって不利益なものとならないよう、その変更について出版社等と十分に協議するよう申し入れたとしています。