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戦前、原爆投下、戦後、復興のモノクロ写真をAIと対話でカラー化! 発売前重版決定の東大×光文社「AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争」が本日16日(木)発売

[2020/7/16 16:01]

 光文社と東京大学の共同企画で、新書「AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争」(著・庭田杏珠、渡邉英徳)が2020年7月16日(木)に刊行されます。新書判ソフトカバー472ページで、価格は1,500円(税別)。

 発売前から話題となり、予約注文が殺到していることから発売前重版が決定しており、5,000部を増刷し、累計15,000部を突破しています。

 「AIとカラー化写真でよみがえる戦前・戦争」は、東京大学学生の庭田杏珠氏と、大学院情報学環の渡邉英徳教授との共同企画で、戦前から戦後の貴重な写真をAI技術と資料・対話をもとにカラー化した書籍。

 広島出身の庭田氏と渡邉教授は、AI(人工知能)技術で自動カラー化した写真をもとに、対話の場を生み出す「記憶の解凍」プロジェクトに取り組んでおり、このプロジェクトは、庭田氏が高校在学中の2017年にスタートし、発展しながら続けられています。

 「記憶の解凍」では、AI技術でモノクロ写真を自動カラー化したのち、戦争体験者との直接の対話、SNSで寄せられたコメント、当時の資料などをもとに手作業で色彩を補正。この過程において、モノクロ写真の印象が大きく変化し、遠い昔の戦争が現在の日常と地続きになり、写し込まれたできごとにまつわる対話が創発します。このことにより、貴重な資料とできごとの記憶を未来に継承する一助となることが企図されています。

 「AIとカラー化写真でよみがえる戦前・戦争」は、これまでの研究成果をまとめたもので、戦前の広島・沖縄・国内の様子、開戦から太平洋戦線、沖縄戦・空襲・原爆投下、そして戦後の復興。個人提供による貴重な写真、朝日新聞社・共同通信社提供の写真、アメリカ軍が撮影した戦場写真など約350枚をカラー化し、収録されています。

帯コメント

すずさんの時代にたどり着きたいと思っていたら、ここにもタイムマシンを作ろうとする人がいました。
――片渕須直(映画『この世界の片隅に』監督)

渡邉英徳教授のコメント

 戦前から戦後にかけての写真は、もっぱらモノクロです。カラーの写真に眼が慣れた私たちは、無機質で静止した「凍りついた」印象を、白黒の写真から受けます。このことが、戦争と私たちの距離を遠ざけ、自分ごととして考えるきっかけを奪っていないでしょうか?

私たちはいま、AI(人工知能)と人のコラボレーションによって写真をカラー化し、対話の場を生み出す「記憶の解凍」プロジェクトに取り組んでいます。

 戦前の広島・沖縄・国内のようす。そして開戦から太平洋戦線、沖縄戦・空襲・原爆投下・終戦。本書には自動カラー化ののち、写真提供者との対話、資料、SNSでの時代考証などを踏まえて仕上げた、約350枚のカラー化写真が収録されています。

 しあわせな暮らしが、少しづつむしばまれていくようす。戦禍が日常に。そして焼け跡から生まれた希望。一葉一葉をめくり、眺めながら、過去のできごとに思いを馳せていただければ幸いです。

庭田杏珠氏のコメント

 高校1年生の夏。私は広島平和記念公園で偶然、濵井德三さんと出会いました。濵井さんの生家は戦前、中島地区で「濵井理髪館」を営んでいました。中島地区は現在の平和公園にあたる場所で、原爆投下前は4,400人が暮らす繁華街でした。

 濵井さんが疎開先に持参した大切なアルバムを見せてもらうと、戦前のご家族との幸せな日常を写した白黒写真約250枚が収められていました。「ご家族をいつも近くに感じてほしい」という想いから、私はカラー化の取り組みを始めました。

 その後も、少しずつ中島地区の元住民との繋がりが広がり、資料や対話を通してよみがえったさまざまな「記憶の色」を再現しています。

 写真集の出版にあたり、私自身は子どもたちの目線から写真を集めました。戦争は、戦地で戦う人たちだけではなく、子どもたちを含む一般市民も巻き込まれてしまうものなのだと伝えたかったからです。家族と最後のお別れもできないまま、永遠に一人ぼっちになってしまった、中島地区の濵井さんたちの想いとともに…。

 本書を通して、戦争や平和について、自分ごととして想像してほしい。そして、それぞれが感じた想いをまた、大切な友達や家族に伝えてほしいなと思います。これが、今の私にできる戦争体験者の「想い・記憶」のあたらしい伝え方です。

収録されているカラー化写真とモノクロ写真の比較例

1935年、沖縄の女学生

写真提供:朝日新聞社
写真提供:朝日新聞社

1945年8月6日、呉からみたきのこ雲

撮影:尾木正己
撮影:尾木正己

1946年8月、原爆投下一年後の広島のカップル

写真提供:共同通信社
写真提供:共同通信社
[古川 敦]