ネットの話題

「社員をうつ病に罹患させる方法」など、社労士のブログ「モンスター社員を解雇せよ!」の過激な内容が話題に

[2015/12/3 12:19]

 財務・税務・人事労務の専門を活かしたコンサル業務を行っている、「有限会社モンジュアソシエイト」サイト内にある「モンスター社員を解雇せよ! すご腕社労士の首切りブログ」の内容がTwitterや掲示板で話題になっています。

精神的、経済的にダメージを与えてうつ病に追い込む方法を指南

 社労士のクライアントは企業ですから、企業寄りの内容であるのは致し方ない面はありますが、今回とくに話題になっているのは「首切りブログ」の「第40回 社員をうつ病に罹患させる方法」の内容。

 質問は、「当社にいるモンスター社員は、上司に逆らう、遅刻する、タバコさぼりなど行動が異常です。なんとかうつ病にして会社から追放したいのですが、いい方法ありますか。もちろん会社が法的に責任取らなくていい方法に限ります。」というもの。

 これに対して、まず、(1)就業時間中の喫煙の禁止、(2)上司に文句を言うことの禁止、(3)遅刻の禁止など本人が守りにくい項目を就業規則に盛り込み、就業規則に違反したら、厳しく処罰することを決めるよう勧めています。

 その上で、本人に反省文を課し、過去の失敗を思い出せるだけ何度も書かせて本人に非があるよう関連付けて考えさせると、うつ病を発症しやすくなるとしています。また、「万が一本人が自殺したとしても、うつの原因と死亡の結果の相当因果関係を否定する証拠を作っておくこと」と指導し、「モンスター社員に精神的打撃与えることが楽しくなりますよ。」と締めくくっています。

 首切りブログの他の回では、「適切合法なパワハラを行ってください。適切にして強烈な合法パワハラ与えましょう」、「社労士としては、うつでいかれた社員を追放すべく尽力をするのが仕事と考えます」といった言葉も。

「これはひどい」、「会社の本音なんてこんなもん」など~ネットの反応

 このブログを目にしたTwitterユーザーからは、「これはひどい」、「こんな社労士に仕事頼んでる企業あるのかな。その企業の良識自体が疑われる」、「こういう人達が日本の自殺者を増やしてる」、「すご腕というか、殺意の波動に目覚めた社労士」などドン引きの感想ツイートが多く見られます。

 「第11回 うつ病の前歴を見抜くには」というエントリーもあることから、「てか、この社労士のうつ病に対する見解なら、一度うつ病になってしまえば社会復帰もかなわずジ・エンドだよなぁ。うつ病に罹患した人間は雇ってはいけないみたいなこと言ってるから」といった感想も。

 一方で、「会社の本音なんてこんなもん」、「社労士は労働者の味方ではなく、経営者の味方というイメージ。そうしないと食えないのかもね」、「社労士が企業寄りの話をするのは至極まっとうな感じ」などの冷めた感想も見られます。

 社労士という職業についても、「社労士ってこんな仕事だったんだ」と驚く声から、「去年お世話になった社労士さんはこれとは真逆の人だった」など、社労士がすべてこうしたスタンスで仕事をしているわけではないとの声までいろいろな感想が。

 また、ブラック企業被害対策弁護団代表の佐々木亮弁護士は、首切りブログについて「この社労士さんを顧問としていたり、コンサルを受けている会社に対する労災の損害賠償請求事件では、このブログが過失立証の有力な証拠となりそうだ」とツイートしています。

奥の手をぶっちゃけた内容は労働者にも参考に

 刺激的な言葉が並ぶ首切りブログですが、人員の少ない職場では1人の無断欠勤でも業務に支障が出ることもあるため、こうしたアドバイスを求めている企業が少なくないだろうことは想像できます。

 「なるほど、企業側はこういう手まで使ってくる可能性があるのか」と考えて読んでおくと、労働者の立場からも参考になるブログとも言えます。

 たとえば、首切りブログからは、特定の社員を合法的に追い出すためにまず就業規則を変更する可能性があることがわかります。また、首切りブログで禁じていることから、「給料泥棒」「無能」などの罵倒はNGであることもわかります。叱責にしても、あくまで業務上の問題点を指摘して改善に向けて指導する形を取らないと、「パワハラ」になってしまう可能性があるというわけです。

 ブラック企業と言われるような企業では、そもそも就業規則を見たことがない、どこにあるのかもわからない、といった職場もあります。「首切りブログ」は言葉はどぎついものの、就業規則を変えろと指導しています。これは、裏を返せば就業規則違反もなしに罰を与えたり解雇したりはできないと言っているわけです。合法的に解決したいホワイト企業向けの奥の手を知ることができるサイトとして、労働者の立場から参考にすることもできそうです。

[工藤ひろえ]