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奈良のクリニックが精神科外来に遠隔診療を導入。Webで予約してビデオチャットで診察、処方箋は配送

[2016/5/17 15:51]

 奈良市のクリニック「きょうこころのクリニック」は、遠隔診療を導入した外来の受付を5月17日(火)に開始しました。

 診療科は精神科、心療内科、児童精神科。オンライン通院を提供することで治療中断を予防することを狙いとしています。

奈良市のクリニック「きょうこころのクリニック」のホームページ

 「オンライン通院」を利用するには、患者は診察に先だってオンライン上で詳細な問診票を入力。初診を予約し、初診は対面で、情報収集、診断、治療の導入を行います。そのうえで、オンラインでの問診に十分に回答できる能力があり、病状がある程度安定しているといった一定の条件を満たした患者に対して、オンライン通院を選択肢として提供します。

 オンライン通院では、予約は、電話またはオンラインで、診察はビデオチャットで行われます。会計は予約時に登録したクレジットカードで自動決済されます。処方箋は、予約時に登録した住所に配送されるため、近所の処方箋薬局で薬が購入できます。

 「きょうこころのクリニック」は、精神科・心療内科の一般外来のほか、小児の発達障害や不登校および心身症などを診療する児童精神科、心理カウンセリングなども行っているクリニック。

 精神疾患では、多忙から継続的な通院が途絶えてしまったり、心理的ハードルから初回の診療をためらったりという理由から、症状が悪化してしまうケースが多くあることから、2015年8月10日の厚生労働省の遠隔診療通達を受けて、オンライン通院を取り入れたとのこと。

 厚生労働省は2015年8月10日、「遠隔診療」の解釈に関する通達を発表。それまでは遠隔診療を「離島やへき地の患者などの対面診療が物理的に難しいケースを除いて原則禁止」としていたところ、通達では、「患者側の要請に基づき患者側の利点を勘案した上で直接の対面診療と組み合わせて行う限り差し支えない」との見解を示しました。

 通達を受け、医療界ではインターネットを利用した遠隔診療などへの関心が高まっているとのことです。

 遠隔診療のシステムは、株式会社メドレーの「CLINICS」を採用。株式会社メドレーは、医師たちがつくるオンライン病気事典「MEDLEY」や、医療介護分野の求人サイト「ジョブメドレー」、口コミで探せる介護施設の検索サイト「介護のほんね」などを提供。医療ヘルスケア分野でITCを活用した事業を展開しています。

 オンライン通院とはいえ、初診は対面診療となるため実際にクリニックに足を運ぶ必要があり、また利用可能かどうかは病状にもよりますが、ビデオチャットによる診察が利用できれば、患者の通院の負担が減りそうです。

[工藤ひろえ]