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お酒に弱いと痛風になりにくく、強いとなりやすい~防衛医科大学校が発表

[2016/6/15 23:46]

 「風が吹いても痛い」と言われるほどの激しい関節痛を引き起こす痛風は、尿酸値が高い状態が持続することで発症する疾患です。発症リスクとしては、食生活の欧米化や肥満などの環境要因が考えられていますが、同じような生活習慣にもかかわらず、痛風を発症する人としない人が存在することから、遺伝的要因の存在も考えられていました。

 全容はまだ明らかになっていませんが、防衛医科大学校の松尾洋孝講師、崎山真幸医官らの研究グループが、2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)遺伝子が痛風の発症に関わっていることを発見したと、発表しました。

 ALDH2はアルコールの代謝に重要な役割を果たす酵素で、ALDH2遺伝子上のrs671(Glu504Lys)という一塩基多型(SNP)の個人差によって決まることが知られています。

 ALDH2の機能は、rs671にLysアレルを持たない(Glu/Glu)人に比べて、Lysアレルを1つ持つ(Glu/Lys)人は約1/16、Lysアレルを2つ持つ(Lys/Lys)人はほぼゼロになります。このため、Lysアレルを持つ(Glu/Lys または Lys/Lys)人はアルコールの代謝が遅くなり、お酒に弱くなります。

 今回の発表では、遺伝的にお酒に弱いLysアレルを持つ人の方が、遺伝的にお酒に強いLysアレルを持たない人よりも、痛風を発症しにくいことがわかったそうです。

 飲酒が痛風のリスクになることは以前より知られていましたが、それを遺伝学の面から裏付ける発見としています。

[古川 敦]