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水素を発生するという入浴剤で火傷の恐れ。国民生活センターが注意喚起~湯に入れた直後に取り出すと、高温の蒸気を発生

[2016/7/21 21:37]

 国民生活センターが、発熱反応を伴い水素を発生するというパック型入浴剤について、使い方によって、やけどのおそれがあるとして注意喚起をしています。

 7歳の女児が、水素を発生するというケースにセットしたパック型の入浴剤を浴槽内の湯に落としてしまい、慌てて手ですくい上げたところ、第II度の熱傷(浅達性、手掌、手背、手指の1%)を負ったという事故情報が医療機関ネットワークに寄せられとのこと。

 医療機関からの情報を元に調べたところ、当該入浴剤は、その配合成分から、水と反応して発熱し、水素を発生すると考えられるもので、国民生活センターにはここ数年、PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワークシステム)などを通じて、水素を発生するという入浴剤による危害事例(けがをしたもの)7件、危険事例(けがをするおそれがあったもの)1件が、寄せられているという。危害程度は、治療1週間未満が2件、医者にかからずが3件、不明が2件。

【事例】
1.水素が発生する入浴剤をもらい使用したら湯の温度が高く火傷をした。入浴剤を入れる容器を渡されなかった。
2.テレビショッピングでデトックス効果のある水素の入浴剤が紹介されていたのを見て注文した。届いた入浴剤を湯船に入れたら泡が出て湯温より高温になり驚いた。

 これまでの事例報告を受けて、国民生活センターでは、市販の水素を発生するという入浴剤のうち、発熱を伴うためパック型のものをケースにセットして使用するタイプのもの(パック型水素入浴剤)6銘柄について、入浴中に使用した場合を想定し、入浴剤本体や周囲の温度などを調査。

 調査の結果、全ての銘柄で、湯につけるとすぐに入浴剤の表面が90度程度の高温になり、その状態が長いものでは約3分間持続するものもあったが、ケース表面や周囲の湯の温度は、高温にならなかった。

 しかし、湯に入れて直ちに取り出すと、入浴剤表面から高温の蒸気が発生し、入浴剤本体に直接触れなくても、やけどを負ってしまう可能性があったとのこと。

湯から取り出した直後とそのサーモグラフィー画像。左は湯から取り出した直後の商品の写真で、蒸気が発生している。右はその時のサーモグラフィー画像で、表面温度が80度程度になっている面積が広いとみられる。

 全銘柄のケースは、格子の隙間から子どもの指が入るため入浴剤本体に接触する可能性があり、水との接触により高温になる旨の注意表示は、全銘柄の商品パッケージや取扱説明書でみられたが、入浴剤本体やケースにはみられなかったとのこと。

 消費者へのアドバイスとして、「水素を発生するというパック型入浴剤は湯に入れると表面が直ちに高温になり、しばらく持続します。直接、入浴剤に触れないように注意しましょう。水素を発生するというパック型入浴剤は、湯に入れた直後に取り出すと、高温の蒸気を発生します。湯に入れた後は、しばらく取り出さないようにしましょう」と注意喚起をしています。

 国民生活センターでは、製造販売事業者へはぬれた手で入浴剤に触れた場合や、使用開始後でもやけどを負うことがないよう、表示を含め商品の改善を要望し、販売者等該当事業者へは商品の広告などに効能効果をうたった表示があり、医薬品医療機器等法上の区分によっては、同法に抵触するおそれがあるので、表示の改善を要望しています。

[古川 敦]