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マタニティマークをつけない理由、「嫌がらせなどが怖い」「席を譲ってほしいと訴えているようで抵抗がある」~ベビカム調査

[2016/8/30 12:30]

 妊娠・出産・育児サイト「ベビカム」はマタニティマークについての調査を実施、結果を発表しました。調査対象は現在妊活・妊娠・育児中の人794名。

 調査によると、マタニティマークについては100%が「知っている」と回答。2008年の調査では、4%が「知らない」と回答していましたが、妊娠・育児の当事者である女性では、いまや知らない人はいないまでに定着したようです。

マタニティマーク

 「妊娠中に電車やバスに乗車する時、マタニティマークをつけていますか(いましたか)?」という質問には、72%が「つけていた」と回答。7割強の人は付けているようです。

 ところが、「持っていたが、つけていない(いなかった)」と回答した人も27%と3割近くに上ります。

 マタニティマークを「持っていたがつけなかった」人に理由を聞くと、「嫌がらせなどが怖い」「席を譲ってほしいと訴えているようで抵抗がある」が同数で最も多くそれぞれ33%でした。次いで、「公共交通機関で外出しないから」との回答も19%と2割近く。

 回答者からは、以下のような声も。

「私はまだ7ヶ月になったばかりで(中略)自分の都合で出掛けるときは、マタニティマークは鞄のポケットに入れて外から見えないようにしています。また通勤時間帯など、混んでいる時間はなるべく避けています。(後略)」(27歳 埼玉県)」

 「マタニティマークの認知度も高まって来たと思いますが、比例してそれに反感を持つ方もいて、難しい問題です。ただ、妊娠期間は妊婦のためでなく、胎児のためのものなので、万一、嫌な思いをしてもぐっとこらえておなかの子どもを第一にしてほしいと思います。嫌な思いは一時、子どもは一生です。(38歳 東京都)」

 マタニティマークで特別な配慮を求めることに抵抗がある人や、マタニティマークを付けていることで嫌がらせされることを心配する女性は少なくないようです。

 つけていた人への「マタニティマークをつけていることで、周りの人に配慮してもらえますか(もらえましたか)?」との質問に、「配慮してもらえたことがある」と回答した人は66%。7割弱が配慮してもらえたと回答する一方で、3割以上の人はつけていても配慮してもらえなかったことになります。

 ただし、2008年の調査では「配慮してもらえたことがある」人は39%で4割弱だったことを考えると、当事者だけでなく、一般の人にも浸透していることが伺えます。

 “つける派”の女性からは、以下のような意見が寄せられています。

 「マタニティマークは堂々とつけたほうが良いと思います。外出先で倒れたり何かあった時、初期の頃のおなかでは気付いてもらえないし、1番きついのはおなかが出ていない時だから。あと妊婦様という言葉が良くないと思う。普通の人で妊娠していない人がマタニティマークを付けて電車に乗っているという話を聞いた事があり、そちらのほうがよっぽど悪質だと思います。 防止するにはマタニティマークを雑誌の付録などで付けるのはやめて、本当に妊娠している人のみに配布する方法が良いと思う。(34歳 神奈川県)」

 近年、妊娠を理由に、過剰な配慮を求める「妊婦様」という言葉が話題になりました。調査で「実際にそのような態度をとる人に、遭遇したことはありますか?」と聞いたところ、実際にそうした態度の妊婦さんに「遭遇した」と回答した人は9%。

 具体的には、「席を譲ってもお礼を言わない」(31歳 東京都)、「(混んでいるのに詰めようともせず)産婦人科の椅子を3つ使っていた」(29歳 栃木県)といったもののほか、「職場で、何かあったらどうしてくれるんだと一切の立ち仕事を拒否」(30歳 東京都)など交通機関だけでなく職場などでも「妊婦様」と感じられるような態度や行動が見られたという声が寄せられました。

 妊娠・育児をしている女性は産院などでほかの妊婦さんに接する機会が多いため、同じ妊婦から見てもちょっとどうかと思う人に遭遇する率が一般の人よりも高いようです。

 「妊婦様」や妊娠していないのにマタニティマークを付けて座席に座ろうとするような人がごく一部でもいると、まわりまわって迷惑するのは妊婦の女性たち。

 マタニティマークが時間をかけて浸透してきたように、こうしたモラルも徐々に向上することを期待したいところです。

[工藤ひろえ]