しわ取り注射で1,300万円! 60歳以上女性の美容医療トラブルが高額化~国民生活センターが注意喚起。美容医療チェックリストも公開
国民生活センターは、美容医療サービスに関する相談で、60歳以上の相談件数は2014年度がピークであるものの、契約購入金額は年々高額化していると注意喚起。「消費者のための美容医療チェックリスト」も公開しました。
自由診療が中心である美容医療では、施術費用は個々のクリニックで自由に設定できますが、注射を数本打たれ1,000万円前後の請求を受けた事例が複数みられるなど、深刻な高額請求トラブルが60歳以上の女性を中心に発生しているとのこと。
全国の消費生活センターなどに寄せられた美容医療サービスに関する相談では、60歳以上の相談件数は2014年度がピークであるものの、契約購入金額は年々高額化し、料金が明確な基準に基づいて請求されているのか不明だったり、施術費用を明確にしないまま施術をされた後で高額請求されたなど、費用に関するトラブルが目立っているとしています。
また、60歳以上の特徴として、美容医療クリニックに出向くきっかけとなった広告媒体が、美容医療全体と比較して、新聞の折り込み広告が顕著に多くなっています。
美容医療は本人がなりたい姿を実現するための施術であることから、医師による十分な説明のもと、本人が納得して施術に同意することがより重要になりますが、施術内容や費用、リスクについて、十分な説明がなく納得しないまま即日契約・即日施術をさせられてしまうケースが少なくないそうです。
【相談事例】
事例1:
しわ伸ばしのためにクリニックに行ったら即日施術され、約1,300万円を請求された
事例2:
相談のつもりで訪れたクリニックでしつこく勧誘され、帰るために即日施術をしてしまった
事例3:
クリニックでリフトアップの注射をした。一部支払ったが、効果の説明や高額な請求に納得がいかない
事例4:
目の下のたるみを取る注射をしたが、5年間保証なのに全く効果がなく、対応もされない
事例5:
腹部の脂肪溶解注射を勧められ、当日に施術したが、対応がずさんで高額すぎる。効果も感じられず解約したい
事例6:
クリニックで口の周りのしわを取る施術を受けたが、腫れがひかない。ずさんな施術なのに高額な支払いに納得ができない
相談事例からみられる問題点として、「医師でないクリニックのスタッフが医療行為をしている可能性」や、「効果を強調するが、根拠は不明確、即日施術を迫るケース」、「料金体系が不透明、支払える金額によって料金が変わる」、「苦情が申し立てにくい、『異議申し立てしない』という誓約書に署名させられている」などを挙げています。
国民生活センターでは消費者に向けて、「リスクなく簡単にきれいになれるとうたう広告をうのみにせず、医師の担当する範囲や施術の流れを十分に確認しましょう」とし、「想定した金額より高額な料金を提示された場合には、契約しないことを伝え、希望しない即日施術ははっきり断る」ようにアドバイス。やむなく高額な契約をしてトラブルとなった場合などには、消費生活センターに相談するよう呼びかけています。
また、厚生労働省に対しては、高齢者が、広域的にトラブルに巻き込まれている実情を踏まえ、全国の自治体に対し高齢者被害の防止の観点から、本トラブルについて十分な周知を行うとともに、各種法令に照らして問題のある事業者について、適切な指導等の実施を促すように呼びかけています。