エンタメ

ドラマ「相棒」シリーズで伝説の“鬱回”「ボーダーライン」、8/10(木)再放送~「ドキュメンタリーを超える」と言われた、すぐそこにある不安の淵を描く問題作

[2017/8/8 15:01]

 テレビ朝日は8月10日(木)15時55分から、ドラマ「相棒」シリーズでも伝説の“鬱回”として知られる作品「ボーダーライン」を放送します。

 Season 9の第8話「ボーダーライン」は2010年12月15日に放送され、大きな反響を呼んだ問題作。

「相棒 Season 9」Blu-ray BOX

 2010年放送当時、日本は2008年9月のリーマンショックに端を発した世界的金融不安による不況の中。経済的不況から支持率を落とした自民党は2009年の衆院選で大敗し、民主党政権が誕生しました。

 2008年末と2009年末には、派遣切りで行き場を失った人々に年末年始期間の食事と居場所を提供するため、「年越し派遣村」が東京で開設されました。

 円高が日本の輸出産業を苦しめ、生き残りのためリストラを断行する企業も相次ぎ、正社員であっても「明日は我が身」という不安が社会に満ちていた頃です。

 「ボーダーライン」の主人公は、派遣社員として働いていた氷河期世代の青年・柴田。放送当時いまほど知られていなかった俳優・山本浩司さんが演じ、リアルな演技も話題となりました。

 氷河期世代、派遣切り、内定取り消し、偽装請負、水際作戦、名義貸しなど多くの社会問題を盛り込んだ骨太の脚本で、「ボーダーライン」は視聴者に大きな衝撃を与えました。

 正社員として数十年勤めている人でも「他人ごとではない」という感想を漏らし、「名作だと思うがもう二度と見たくない」「トラウマになった」「ドラマとは思えない、ドキュメンタリーを見ているよう」といった感想が多く上がりました。

 現在は新卒の「売り手市場」と言われますが、いったんドロップアウトして、住所を失うところまで行ってしまうと、そこから這い上がるのが難しいという状況は放送当時とあまり変わっていないように思えます。

 なにしろ伝説の「鬱回」なので、現在悩みを抱えている人にはあまりおススメできませんが、伝説回を見逃して、一度見てみたいという人は録画予約をどうぞ。

[工藤ひろえ]