ライフ

テレビに偏向報道、「あると思う」が7割超、偏向報道があった番組スポンサーの商品を「買いたくない」約3割~「放送法遵守を求める視聴者の会」調査

[2018/4/17 10:17]

 作家の百田尚樹さんが代表理事を務める、テレビの偏向報道を監視する団体「放送法遵守を求める視聴者の会」は、テレビの一般視聴者を対象に、偏向報道に対する意識調査を実施。結果を発表しました。

 調査は今年3月30日から4月1日までの3日間、テレビ、新聞などが世論調査を行う際に使われるRDD方式により行われました。有効回答数は1,000。

 RDD方式(Random Digit Dialing)は、コンピューターで無作為に数字を組み合わせて番号を作り、電話をかけるもの。固定電話だけでなく携帯電話も対象とし、人口構成比と性年齢別12区分で重み付けを行って集計しています。

4人に3人が、偏向報道は「あると思う」と回答

 調査では、偏向報道が「たくさんあると思う」「それなりにあると思う」と答えた人が合計73.9%に上り、一般視聴者の4人に3人が偏向報道が「ある」と感じていることがわかりました。

 事実を曲げない、政治的に公平であること、複数の意見が対立している問題については多くの角度から紹介する――などを定めた放送法4条が話題になっていますが、現状の報道が「偏向している」と感じることがある視聴者が多くいるようです。


偏向報道があった番組スポンサーの商品は「買いたくない」約3割

 「偏向報道があった番組スポンサーの商品を買いたいと思いますか?」という質問については、「絶対に買いたくない」「買いたくない」と答えた人が、合計29.6%に上りました。

 民放各局はスポンサー料をおもな収入源としているため、これは民放各局にとっては“エグい”質問と言えます。もちろん、NHKは国民から徴収する視聴料金で運営しているため、企業などからスポンサー料をもらうことはありません。

 ただし、「わからない」63.2%「買いたい」6.4%の合計が約7割に上っていることから、番組内容がストレートにCM商品の購買行動に結びつかない人の方が多いようです。


テレビの視聴時間とよく見るニュース番組

 1日あたりのテレビ視聴時間については、「2.5~3時間」が最多で21.1%。

 ただし、「0時間(見ない)」も含めて「1時間以内」の人が26.7%に上り、一方で「5.5時間以上」の人も12.3%いるなど、テレビとのつきあい方はさまざまです。

 よく見るニュース番組では、テレビ朝日の「報道ステーション」が50.7%とダントツの1位になりました。2位は日本テレビの「NEWS ZERO」で32.1%。

 ニュースといえばNHKのイメージがありますが、「NHKニュースウォッチ9」は30.7で3位に甘んじています。民放各局では夜のニュースは22時、23時からの放送。NHKのみ21時からの放送ですが、現代のビジネスパースンのライフスタイルからすると、21時スタートは少々早いのかもしれません。


誤った報道は、訂正しても訂正報道は浸透しない?

 TBS番組「ひるおび」で、小池百合子東京都知事が2016年8月に就任挨拶をした際、「当時の都議会議長 自民党の川井重勇氏が握手を拒否した」という報道がありました。実際には、川井氏が小池百合子都知事と握手を拒否した事実はなく、TBSは2017年7月6日放送の同番組内で「放送内容に誤りがあった」として訂正しました。

 調査では、「握手拒否」報道を知っていたか、また訂正報道を知っていたかを質問。その結果、「握手拒否」報道については55.9%と半数以上の人が「知っていた」と回答。一方、訂正報道について「知っていた」のは8.3%と1割未満にとどまりました。

 映像付きのセンセーショナルな報道に比べて、訂正報道は局アナウンサーやMCがひと言述べるだけなので、印象として残りにくいことも影響しているかもしれません。


「報道しない自由」は「好ましくない」が43.7%

 調査では、子宮頸がんワクチンを例に、「報道しない自由」についても質問。これについては少々長いですが、質問文をそのまま以下に転載します。


Q. (日本人医師、医療ジャーナリストの村中璃子さんが、子宮頸がんワクチンについて、科学的に正しい証拠に基づき、ワクチンは科学的に安全であるという多数の記事を書き、このジャーナリストとしての功績に科学界で大変権威のある賞が与えられましたが、日本のメディアは、ワクチンの危険性を強調する報道を行い、村中さんの受賞は報道されませんでした。)

いわゆる「報道しない自由」と言われているものですが、これについてどう思いますか?


 この質問に対して、13.5%が「極めて好ましくない」、30.2%が「好ましくない」と回答。計43.7%が「好ましくない」と考えていることがわかりました。

 また、「テレビが重要な出来事について報じない、いわゆる“報道しない自由”は、他の事件でもあると思いますか?」という質問には、「たくさん」「それなりに」を合わせて78.8%と8割近くが「あると思う」と回答。

 現代の視聴者は、報道の取り上げ方に放送局ごとの“忖度”が働いていると感じている人が少なくないようです。

[工藤ひろえ]