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大家さんも楽じゃない!? 賃貸オーナーの多くが経験する、家賃滞納、ゴミ屋敷、騒音トラブル、孤独死など“入居者トラブル”に関する調査結果発表

[2018/6/12 16:07]

 大家さん向け専門出版社・株式会社オーナーズ・スタイルは、賃貸経営情報誌「オーナーズ・スタイル」首都圏版の読者を対象に、「これまで起きた入居者トラブルについてのアンケート調査」を実施、結果を発表しました。

 調査は、首都圏版の読者3万8,000名に郵送でアンケートを送付し、郵送で回収して実施。有効回答数は928件です。


家賃滞納、ルールやマナー違反、ボヤ騒ぎ、夜逃げ…多種多様のトラブルが

 賃貸住宅を経営している大家さんに、過去に体験したトラブルを聞いてみたところ、90%近くが何らかのトラブルを経験していることが分かりました。

 最も多いのが「家賃滞納・入金の遅れ」で、38.3%と4割近くに上ります。うち約3分の1、12.4%が強制退去という結果に。「退去時の敷金返還でもめた」も20.6%と、金銭トラブルは賃貸経営では代表的なトラブルとなっています。

 次いで、2位は「室内の汚損」30.8%、3位は「ゴミ出しマナーが守られない」29.3%と賃貸マナー違反が並びます。

 「廊下などの共用部に物を置かれた」「集合ポスト付近のチラシ等の散乱」「ペット不可なのにペットを飼われた」なども上位に上がっていて、ルールを守らない入居者への悩みは日常的なものと言えそうです。

大家さんが体験したトラブルのランキング(複数回答)

1:家賃滞納、入金の遅れ 38.3%
2:室内の汚損 30.8%
3:ゴミ出しマナーが守られない 29.3%
4:粗大ごみの不法投棄 21.3%
5:退去時の敷金返還でもめた 20.6%
5:入居者同士のトラブル(騒音など) 20.6%

7:廊下などの共用部に物を置かれた 19.6%
8:集合ポスト付近のチラシ等の散乱 15.8%
9:家賃滞納で強制退去 12.4%
9:ペット不可なのにペットを飼われた 12.4%

11:室内がゴミ屋敷に 12.3%
12:駐輪場のルールが守られない 11.3%
13:入居者が原因の近隣の苦情 10.2%
13:契約書に書かれていない人が住んでいた 10.2%
15:夜逃げ・失踪 9.2%

16:火事・ボヤ騒ぎ 5.7%
16:駐車場のルールが守られない 5.7%
18:入居者が部屋で孤独死 4.7%
19:入居者が逮捕された 4.6%
20:居住以外の目的で使われた 3.4%

21:入居者が自己破産 2.7%
22:入居者が反社会的勢力だった 1.9%
22:入居者が敷地内で自殺 1.9%

*:その他のトラブル 2.7%
*:該当するものが1つもない 11.1%


 火事や夜逃げ、孤独死、ゴミ屋敷化、入居者が反社会的勢力だったなど深刻なトラブルを経験した大家さんもいます。入居者の審査をしっかり行っていても、集合住宅である限り、入居者によるトラブルは避けられないもの。大家さんも苦労がつきないようです。

 とはいえ、今回調査した大家さんは賃貸アパート/マンションを、平均で約2.4棟、約20室を所有していて、家賃収入は2,000万円以上が24%、1,000~1,999万円が25%、999万円以下51%と、やはり経済的には恵まれた人が多いことがわかります。

 なお、民法改正法案が2017年に可決し、連帯保証人の保護ルールや貸借人の修繕権などのルールが2020年から施行されます。具体的には、賃借人の保証人をとるときには、保証限度額を契約書で明示することが義務付けられます。また、これまであいまいな部分もあった敷金の返還が義務付けられ、通常の居住で生じる劣化や摩耗については大家さんの負担となることが明確に定められます。

 アンケートでも、管理会社に丸投げせず、自身でもトラブル対策を講じ、管理会社や行政を巻き込んで動くことで解決に至ったという声が。トラブルを「単なる不運」と考えず、常に情報収集し、主体的にリスク管理できる大家さんが生き残っていく時代になりつつあるのかもしれません。

[工藤ひろえ]