ネットの話題

動画配信者の逮捕多すぎ!とネットで話題~元気な姿を生配信中に救急車を呼んだニコ生主「よっさん」逮捕。5月、6月にも配信者が逮捕され、ネットでは「運営にも責任」の声

[2018/7/5 12:57]

 「よっさん」のハンドルで知られるニコニコ生放送の動画配信者が2月、体調が悪いわけでもないのに救急車を呼び、駆けつけた救急隊員に「クズ」などと絡んだことで、偽計業務妨害で7月2日に逮捕されたことが報じられ、ネットで話題になっています。

 報道によると、逮捕されたのはハンドル名「よっさん」で知られる生配信者。2012年7月から2018年2月までに、少なくとも12回の119番をして、駆けつけた救急隊員に対して「具合は悪くない」などと言って、病院への搬送を拒否していたとのことです。

逮捕されたハンドル名「よっさん」のTwitter。編集部がモザイク処理したプロフィールでは、住所が明記されています。住所公開はリスクも大きい一方で、支援を受けやすいメリットも

 今回逮捕につながった2月の配信では、酒を飲みながら配信していた「よっさん」は寝落ちしてしまい、心配した視聴者が119番をして救急車を呼んだところ、「呼ばれたから来たって、オレ呼んでないよ」「税金のムダ遣い」「お前らはクズ」などと救急隊員に暴言を浴びせましたが、無事を確認して救急車は引き上げました。

 生配信の視聴者が通報した背景として、「よっさん」はTwitterアカウントのプロフィールで住所を公開しているため、誰でも住所を知ることができる事情があります。

 その後、「よっさん」は罵声を浴びせ足りなかったのか、今回は自ら119番通報して「具合が悪い」と救急車を呼び、再び駆けつけた救急隊員に「おれ具合悪いように見える?」「来るのはおかしいじゃん」「オレたちの税金で生活しているんだから土下座して謝れ」などと再び罵声を浴びせて絡んでいます。

 また、「よっさん」は2016年には偽札を使ったとして、偽造通貨行使の疑いで逮捕されましたが、不起訴処分となった過去があることも報じられています。


続くインターネット動画配信者の逮捕

 5月には、ツイキャス動画配信者のハンドル名「しんやっちょ」が、新宿の飲食店で動画配信中に、女性の顔を殴った疑いで逮捕されました。

 「しんやっちょ」は、これまでに無免許運転、交番内に入って踊るなどの迷惑行為、カラオケ店内でおしっこをするなどの業務妨害、それに今回と少なくとも4回逮捕されています。いずれも配信中の逮捕で、視聴者の注目を引くことを目的に犯罪行為に及んでいる可能性は否定できません。

 6月には、ゲーム配信者のハンドル名「クロダ」が、女子高校生へのわいせつ行為容疑で逮捕されました。「クロダ」は格闘ゲームでは「神」と呼ばれたほどの人気プレイヤー。もっとも、女子高校生とはTwitterで知り合ったと報じられていて、配信中の行為でもないことから、再生数増加目当ての迷惑行為ではなく、配信とは直接関係のない逮捕です。


インターネット動画配信者の迷惑行為が減らないワケ

 「よっさん」が逮捕されたニュースについては、ネットでさまざまな感想があがっています。

 配信で視聴数を伸ばすためだけに再三救急車を呼ぶ行為を繰り返す森容疑者に、「緊急搬送で命を取り留めたばかりの俺からすると、このアホは一生娑婆に出てくなと言いたいわ」、「なんかの記事で救急車有料かみたいなのあったけどこういう輩から金取れ!」などの憤るツイートが。

 救急車の台数は限られています。いたずらで119番して出動したことで、本当に生命の危機に瀕している人のところに救急車が向かうのが遅れてしまう可能性があることを考えると、憤りの声が上がるのは当然。

 犯罪行為や迷惑行為をする生配信者が絶えないことについては、「生放送発信者って数稼ぐ為に犯罪行為まで軽々しくやるから好きじゃないんだよね。もちろんマトモな人もいるだろうけど、 犯罪行為=有名って形が出来てるしな」という声が上がっています。

 実際、“普通の人がやらない/できないこと”をやることでネットで話題となり、視聴数が上がることでアフィリエイトによる収入も増加するという構図が出来上がっていることから、犯罪スレスレの迷惑行為を配信して注目を引こうとする配信者が後を絶ちません。

 逮捕されれば、逮捕をネタに仲間の配信者が「面会に行く」という動画を配信したり、本人が配信で逮捕をネタにしたりと、インターネット配信を本業としている配信者には、逮捕されてもノーダメージという面もあり、迷惑行為を繰り返す配信者も少数ながら存在しています。

家族が止めても視聴者の支援で行為は続く、という構図

 今回逮捕された「よっさん」については家族もさじを投げているようで、TBS番組「ビビット」の取材に対して父親が「逮捕されてよかった。これで夜眠れる」とコメントしています。

 過去にニコニコ生放送で配信を行っていた、ハンドル名「ノエル」という少年のケースでは、迷惑になる場所でドローンを飛ばしたり、住居侵入で逮捕されるなどしてたびたびニュースとなりました。

 ノエル少年の場合は親がスマホやパソコンを取り上げるなどして配信を止めさせようとしても、視聴者が金品を支援したことで親の対処も効果がない結果に。なお、ノエル少年は2017年に住居侵入で逮捕されて以後は配信を行っていません。

 今回の逮捕のニュースでも、「十代の人。ツイキャスは面白いと思うけどニコ生も面白いですよ。くだらない事で逮捕される配信者がいるんですから。見て損はないですよ。嫌な気分も吹き飛びますよ!」などと逮捕を歓迎し面白がるツイートも見られます。

 自分ではやらないことを、未成年や職を失う心配のない配信者を煽ってやらせ、見て楽しもうという視聴者が一定数いるのは事実。その中には、配信者の家族がやめさせようといるにもかかわらず、金品を支援することで“お楽しみ”を続けさせようとする人もいて、迷惑行為を減らすことを難しくしています。

 こうしたことから、「ニコ生の逮捕者のやつ。 マジ頭おかしいし。 んで見るやつも見るやつでクズ これ見てなんになるの? 自分よりクズがいるーって安心するの? 精神年齢低いやつ多くない?」との怒りの声も。視聴者がいなければ動画配信者は生活できないため、見て煽る視聴者も「クズ」という意見も上がっています。


ネットでは運営の責任を問う声も

 配信者の行う迷惑行為や犯罪行為には、重大犯罪と呼べるほどのものはありません。このため、不起訴や起訴猶予、悪くても罰金刑ていどというケースが多く、刑事罰にも抑止力はあまり期待できません。

 家族が止めようとしても視聴者が支援することで、家族がお金を渡さない、配信機材を取り上げるといった対処をしても、人気の配信者では効き目がないことも。

 こうした事情から、Twitterでは「運営にも責任がある」として、運営により強い対処を求める以下のような声が上がっています。

「あまり運営は、関わりたくはないと思うけど、本人の問題でもあり運営にも問題があると思う。一部の配信者が目立ったせいで、今後配信自体は規制が厳しくなると思う。免許制になってもおかしくはないと思う。それで生活してる配信者は特に」
「運営!とくダネ見てたらまたニコ生の放送がきっかけで逮捕されたやついたよ!今年2月にニコ生中に虚偽通報したんだって! こういう奴ら永久BANできないの? 投げ銭も始まるし迷惑行為とエロ配信とそろそろ規制してくれ ふわっちとかキャスのほうが規制厳しい」

 中でも、ニコニコ生放送については他の動画配信サービスに比べて迷惑配信者への対処が甘いと考える人が多くいるようで、ニコニコ生放送に対する、以下のような厳しい声が上がっています。

「みんな、思い出して欲しい。 確かによっさんは7月に逮捕されたが、そもそも、事件は2018年2月17日の出来事。 事件は関係者には周知の事実なのに2ヶ月後、ニコニコ動画の運営は、よっさんを公式放送に出演させたのだ 」

「ニコ生放送での犯罪配信事件をフジのとくダネ!でやるなら ニコ生運営の幹部夏野がコメンテーターやってる日にやれよと言いたいわ ニコ生幹部がニコ生主の犯罪配信について公共の電波でどのようにコメントするか聞きたい...」

 一方で、ニコニコ生放送の問題は、運営より集まっている利用者の質にあるという以下のような指摘も。

「ニコ生でまぁた『逮捕者』ですか(^ω^) もうすっかり常連ですな・・・ ニコ生のシステムがいくら良くなっても 利用者がゴミ以下じゃどうしようもねぇなぁ いったい何回、何人に 迷惑かけりゃ気が済むんだよ。イメージも最悪だなぁ。」


 動画配信の運営には、「誰もが動画配信を行える自由を担保しながら、迷惑行為を繰り返すアカウントを停止する」という難しい舵取りが求められています。

 YouTubeでは、右翼的な意見を配信するアカウントに対して、それに批判的なユーザーたちが「ヘイト動画」としてYouTubeへ通報を呼びかけ、ターゲットとなったアカウントが多数停止されるという“祭り”が今年5月にありました(通称「春のBAN祭り」)。

 当該アカウントの停止については賛否両論がありますが、通報が多数あったアカウントを停止したYouTubeの対処は、ひとつのサンプルとして、そうした事例をもとに、気に入らないアカウントへの嫌がらせ目的の通報をどう見分けるか、経験を積み上げてノウハウを開発するしかないのかもしれません。

[工藤ひろえ]