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伊勢丹相模原・府中、新潟三越伊勢丹が閉店決定 限られた経営資源を成長分野に再配分するため~3店舗とも売上高ピークは1996年

[2018/9/26 20:44]

 三越伊勢丹ホールディングスが26日、完全子会社の三越伊勢丹の「伊勢丹相模原店」、「伊勢丹府中店」、新潟三越伊勢丹の「新潟三越」の3店舗の営業を終了すると発表しました。営業終了は、伊勢丹相模原店と府中店は2019年9月30日、新潟三越は2020年3月22日が予定されています。

 3店舗の営業終了は、同グループが将来の持続的な成長に向けて「収益体質の強化」と「事業構造の転換」の二軸を掲げ、事業の選択と集中を図ることで、19年度以降の再成長フェーズにつなげていくため、限られた経営資源を成長分野に再配分することが目的と説明。

 同社では「3店舗は、今後、現店舗の競争力を高めたうえで運営を続けるためには、多大な投資が必要となるなか、投資回収の見込みが立たないことなどを踏まえ、このたび営業終了を決定した」としています。

 なお、営業終了する3店舗の従業員については、三越伊勢丹および新潟三越伊勢丹の各々の企業全体の要員政策の中で適正な対応を図っていくとのことです。

伊勢丹相模原店

 伊勢丹相模原店は1990年に開店、93年にはA・B館を増床し、96年度のピーク時には売上高が377億円にまで拡大。しかしながら消費者の購買行動の変化や、同一地域内の競合環境が厳しくなったことなどにより、売上が低下し、赤字が恒常化しているとのこと。

 これまで一定の投資をかけ活性化を図るとともに、店舗運営の効率化などの取り組みを進めものの、赤字解消には至っておらず、またこれまでの恒常的な赤字により、2003年度以降、合計約104億円の減損損失が計上されています。

所在地:神奈川県相模原市南区相模大野4-4-3
 1990年9月 開店
 1993年4月 A館・B館オープン
 2016年2月 A館・B館閉館
店長:山下洋志(やましたひろし)氏
店舗面積:29,500平方メートル
売上高:195億1,500万円
従業員数:389名

伊勢丹府中店

 伊勢丹府中店は1996年に開店。しかしながら消費者の購買行動の変化や、同一地域内の競合関係が厳しくなったことなどにより、開店初年度の売上高261億円をピークとし、以来売上が低下し、赤字が恒常化。

 これまで一定の投資をかけ活性化を図るとともに、店舗運営の効率化などの取り組みを進めてきたものの、赤字解消には至っておらず、またこれまでの恒常的な赤字により、2003年度以降、合計約34億円の減損損失を計上しています。

 なお、現店舗の営業終了後の新たな商業施設化に向けた協議を関係者と進めいるとのこと。

所在地:東京都府中市宮町1-41-2
 1996年4月 開店
 2016年3月 食品リニューアル、クイーンズ伊勢丹を導入
店長:山上敦()やまがみあつし)氏
店舗面積:32,402平方メートル
売上高:148億69,00万円
従業員数:306名

新潟三越伊勢丹

 新潟三越は1936年に小林百貨店として開業、80年に新潟三越百貨店へ社名変更。その後、三越伊勢丹ホールディングスの発足に伴い2010年に新潟伊勢丹と統合を行ない、新潟三越伊勢丹新潟三越として営業されてきました。

 96年度のピーク時には売上高250億円まで拡大したものの、消費者の購買行動の変化や郊外型ショッピングセンターの台頭に伴う競合環境の激化などにより売上が低下。

 こうした状況に対応するために、経営統合による組織のスリム化など店舗運営の効率化などの取り組みを進たものの赤字解消には至っておらず、2009年度に約19億円の減損損失を計上しています。

 今後については、新潟伊勢丹への営業力の統合・集約を通じ、店舗の魅力度を一層高めていくとしています。

所在地:新潟県新潟市中央区西堀通五番町866
 1907年 新潟市本町に小林呉服店創業
 1936年 小林百貨店と改称、現在地に移転
 1980年3月 株式会社新潟三越百貨店に社名変更
 1987年3月 株式会社名古屋三越百貨店と合併、名古屋三越新潟店に
 2003年9月 株式会社三越5社合併、株式会社三越名古屋カンパニー新潟店
 2010年4月 株式会社新潟三越伊勢丹に社名変更
店長:髙橋芳明(たかはし・よしあき)氏
店舗面積:20,596平方メートル
売上高:129億4,000万円
従業員数:158 名

※売上高は2018年3月期実績。従業員数は2018年4月現在。

[古川 敦]