NHKスペシャルで、特殊詐欺に手を染める若者を描く「詐欺の子」3/23(土)放送! 複数の実話をもとに、犯罪意識のないまま詐欺に手を染める若者たちを描く
3月23日(土)午後22時から、NHK総合でNHKスペシャル「詐欺の子」を放送します。制作はNHK名古屋放送局。NHKスペシャルながら、ドラマ仕立てで90分の異色作となっています。
「オレだよ、オレ」と家族を騙って高齢者に電話をかけ、金品を騙し取るといった特殊詐欺。当初の「オレオレ詐欺」から犯行の手口が多様化したことで、現在は「特殊詐欺」と総称されています。
2003年の発生から15年経つ現在でも、1日1億円の被害を出す「特殊詐欺」。現在この犯罪の根幹を支えているのが未成年の若者たちで、2018年に特殊詐欺で逮捕された少年は754人に上り過去最多となりました。
なぜ、若者たちは詐欺に手を染めるのか。「詐欺の子」では、「格差社会ニッポン」が生み出した「詐欺の子」の姿を、複数の実話を基にドラマとドキュメントで紡ぎ出すとのこと。ただし、ドラマのあらすじを見ると、若者たちを格差社会の被害者に仕立てているわけではなく、いくつもの実話をもとに、加害者意識のないまま特殊詐欺という犯罪を繰り返す若者の実像に迫った内容になっているようです。
ドラマでは、中村蒼さん、長村航希さん、渡邉蒼さんが特殊詐欺に手を染める若者を演じ、桃井かおりさん、坂井真紀さん、イッセー尾形さんら豪華出演陣が脇を固めます。
作品情報(敬称略)
<放送予定>
3月23日(土)総合 午後9時(90分・単発)
※再放送:3月28日(木)総合 午前0時15分
<作>
高田亮
<音楽>
勝井祐二 mouse on the keys
<出演>
中村蒼 長村航希 高橋ひかる 渡邉蒼 濱津隆之
坂井真紀 イッセー尾形 桃井かおり ほか
※「高橋ひかる」の「高」は正しくは「はしご高」
<演出>
川上剛
<制作統括>
吉永証
<制作>
NHK名古屋放送局
あらすじ
舞台は2019年の東海地方。一人暮らしの光代(桃井かおり)に、娘をかたる女から電話がかかってきた。以前もだまされた経験のある光代は、警察に通報し捜査に協力。現れた「受け子」で14歳の和人(渡邉蒼)の逮捕に貢献する。和人を送り込んだのは、幼なじみの「かけ子」の大輔(中村蒼)と「見張り」の遠山(長村航希)。二人は詐欺を「老人の『死に金』を社会に還元する義挙」と信じ、巧みな嘘で話を持ち掛け、荒稼ぎを繰り返していた。
和人の取調べが進み、遠山も逮捕される。二人の様子を伺うため、裁判所の法廷に傍聴しに行く大輔。するとそこに証人として光代が現れ、彼女の話を聞くうちに、大輔は自分が過去に行った詐欺で苦しむ被害者の心情を知る…。
主な登場人物紹介
嘉川 大輔(23)[かがわ だいすけ]…中村蒼
「かけ子」のリーダー。シングルマザーの貧困家庭で不良上がり。詐欺で稼いだ金を、事情を明かさず、母・春美に仕送りしている。
遠山 元宏(23)[とおやま もとひろ]…長村航希
「受け子」を乗せ、金を回収する車の運転手。親友の大輔と17歳の時「受け子」になった。
田島 玲奈(17)[たじま れいな]…高橋ひかる
身元不明の家出少女。「受け子」として遠山の車に乗り込み、転々とする。
三浦 和人(14)[みうら かずと]…渡邉蒼
ごく一般的な家庭の中学2年生。犯罪意識がないまま、遠山の車に乗り「受け子」となる。
池谷 敏行(36)[いけたに としゆき]…濱津隆之
詐欺グループのオーナー。表向き不動産業を営んでいる。言葉巧みに若者たちを洗脳して詐欺の世界に取り込んでいく。
嘉川 春美(49)[かがわ はるみ]…坂井真紀
大輔の母でシングルマザー。離婚した夫の暴力が原因で足が不自由である。
河北 孝一(65)[かわきた こういち]…イッセー尾形
遠山の国選弁護士。これまで詐欺に関わった大勢の若者の弁護をしてきた。
小山田 光代(72)[おやまだ みつよ]…桃井かおり
だまされたふりを続け、和人の逮捕に協力する。以前、振り込め詐欺の被害に遭った過去がある。
出演者・制作スタッフコメント
<中村蒼>
これまで特殊詐欺を意識したことはなかったのですが、いつ自分や自分の周りに振りかかってきてもおかしくないほど身近に潜んでいるものだと感じています。この作品は複数の事実を基に作られたドラマですので、きっと説得力のある内容になっていて、見てくださった皆さんの心に何かひっかかる作品になっていると思います。
<長村航希>
さまざまな詐欺の情報を調べながら、1月初めから撮影に入りました。撮影の中で、友人と遊んでいるようなノリや普段の生活のついでで、罪の意識がないままに詐欺が行われていることを実感して、怖いことだと思いながら演じています。
<高橋ひかる>
甘いことばでだまされて、詐欺に手を染めてしまうということは、とても怖いことだと思います。この作品を被害者となるような方々だけではなく、加害者となるような私たち高校生や中学生、そして社会人の皆さんにも見ていただきたいです。
<渡邉蒼>
他の作品では犯罪をしている人は悪者として描かれることが多いと思うんですが、この作品では犯罪をしている人、1人1人のストーリーというか、背景を分かってもらえたら、オレオレ詐欺のことをもっと知って対策しようと考えてくれる人も多く出てくるんじゃないかなと思って、この作品に挑みました。悪いことがテーマになっていますが、この作品が今の日本に本当に必要な作品になっていると思います。
<イッセー尾形>
NHKのニュース番組の「ストップ詐欺」というコーナーをいつも見ていますが、毎回取り上げる手口が違う点に驚いています。今回、ドキュメンタリーとドラマを両方取り入れていて、ドキュメンタリーだけでは捉えきれない、心の揺らぎといったところまで迫る試みだと思っています。
<桃井かおり>
お金をだまし取られたのに、息子の声も分からないのか、そんなにお金があったのかなど、いろんなことを言われて、そしてそれがすぐに知れ渡ってしまう時代。でも本当に辛いことは、“本当に簡単にだまされてしまったのだ”と認めざるを得ないことだと思います。
<川上剛 ディレクター>
取材を進めていく中で、詐欺が減らない大きな理由として見えてきたことは、少年たちの存在でした。お金に困っていたわけでもなく、友人関係や家庭環境が絡み合いながら犯罪意識のないままに詐欺の世界へと迷い込み、子どもたちが捨て駒ように使われている現状がありました。今回の見どころは、実際の事件を基にしていて、詐欺の実行犯を逮捕した実際の現場でその時の様子を再現したり、実際に少年院での撮影も行っています。今、日本で何が起きているのかというリアリティーも伝えることができたらと思います。
<吉永証 チーフ・プロデューサー>
今回のドラマは90分の大作です。舞台は名古屋近郊や東海地方の現代のお話です。タイトルにあるように、10代20代の若者が中心となって物語が進みます。実際の詐欺事件を基にして、ドラマだけではなく詐欺に関わった人たちの証言も織り交ぜて、ドキュメンタリーも盛り込んだ新しいドラマを目指しています。