あなたの私生活をすべて提供すれば月額20万円! 社会実験「Exograph」の参加者募集中~浴室以外は死角なしにカメラ設置。応募者は500人に迫る勢い
2019年11月1日設立された株式会社Plasmaが、2019年11月1日から200,000円を提供する代わりに、その私生活データを動画で収集し、その費用を賄うことに挑戦する社会実験「Exograph」の参加者を募集しています。
募集当初は、報酬を東京都内23区の30歳前後の人々に支給される生活保護費用132,930円としていましたが、11月11日に、月額20万円に増額を発表しました。増額の理由については「生活保護費用132,930円という表現は、『生活保護を受けている人は行動データを提供しなければならない』というよう印象を生んでいるという声もあり、設定金額を20万円と変更しました」と説明しています。
なお現在、応募者は500人に迫っており、年齢層は20代が多く、男女比4:1で、無職の人が全体の1割ほど、経済的な理由以外の動機で参加してる人が多いそうです。
おかげさまで、数日前まで応募者50名ほどだったのが今では500人に迫ろうかという感じです。
— Hiroki Enno@Exograph (@hiroki_enno)November 11, 2019
1. 応募者の年齢層は20代が多い
2. 男女比4:1
3. 無職の人は全体の1割ほど
4. 経済的な理由以外の動機で参加してる人が多そう
といったことなどまとめてます。https://t.co/aCGSxLUZ7P
同社では、「Exograph」を「データ経済と資本主義の次を模索する社会実験」としており、プライベート情報を全て収集・マネタイズする試み。なお、11月1日からオープンする渋谷キューズのQWSチャレンジ#1「道の問いに挑戦するプロジェクト」にも採択されています。
“納税や労働以外に「生き様のデータ」を提供することで社会に貢献し、社会保障や金銭的対価を受ける”という選択肢があっても良いのではないかとして、そのような仕組みを提供して行く前に、まずは社会として新しい価値観に対してどう対応するかを確かめる必要があるため企画したとのこと。
「Exograph」では以下の日程で数名の参加者を募り、実際の部屋にカメラを設置して動画データが収集される予定です。なお、働いている人でも参加が可能ですが、普段の生活で24時間のうち睡眠も合わせて8時間以上は自室で過ごしていることが条件です。
11月1日 ~11月15日 参加者募集
11月15日~11月22日 参加者の面接、合格連絡
11月25日~12月25日 実験(屋内データの収集)
12月27日 支払い
合格者の自宅に、浴室以外で死角なく、全ての部屋にカメラとそのデータを扱うPCが設置され、11月25日~12月25日まで撮影されます。参加者は特に何かをするわけでもなく、普段と変わらない生活が可能です。収集されるのは動画と音声のデータで、実験期間中は昼夜問わず記録されます。
なお、浴室に設置されないのはプライバシーへの配慮ではなく、ハードウェアの問題。そのため、トイレ、洗面台全てにカメラが設置され、センシティブな行為や姿も含めて動画によりデータが収集されるとのことです。収集された動画データは、Exographプロジェクトの関係者で、同意を得ていないものに関しては関係者以外への公開はされないとしています。
なお、実験期間中に撮影されたデータでどうしても消してほしい時間がある場合は「基本的に対応可能ですが、報酬が減額されることがあります」とのことです。また、カメラやPCの電源をオフにしたり、カメラのレンズを隠すなど意図的にデータを収集できないような行動した場合は、契約違反となり、報酬が支払われなかったり、減額される可能性があるとしています。
また、取得した動画データを元に、有識者や消費財メーカーをはじめとした企業へのヒアリングを通して、もしこの動画データパネルを1万人規模で行なった場合に一人当たりの売上がいくらになるかを推定し、1月末に結果を公表する予定とのことです。
今回の取り組みでは、生活者が普段と変わらない日常生活を送れる状態を第一条件とし、実際のマネタイズの際には、人物の顔や身体をCGでマスクするなどして匿名化し、コンテンツとして一般動画配信でのマネタイズではなく、消費者行動データとしてのマネタイズを目指すとしています。
なお、事業として収益性については「非常に難しいと考えていますが、今回の実験を通して可能性を探っていきます」と説明しています。
株式会社Plasmaのコメント
すでにユーザーが気付かないうちに大企業によりデータ収集・売買がされている現状において、公明正大にユーザーにデータ取得を宣言し金銭的対価を提供するExographは果たして倫理的に間違っているのか。これからの社会が直面するこの問題に、正面から取り組むのは重要だと思いました。
またこの実験は、現行のあらゆる生活スタイルを否定するものではなく、本実験を通して、さまざまな専門家に話を伺い、多くの人と議論をしたいと考えています。