東芝が血液1滴から13種類のがんを精度99%で検出する技術を開発! 独自のマイクロRNA検出技術で検査時間を2時間以内に短縮~健診の血液検査でステージ0から有無を識別
東芝が25日、血液中のマイクロRNAを使った簡便で高精度ながん検出技術を開発したと発表しました。同社独自の電気化学的なマイクロRNA検出技術を活用することで、すい臓がん、乳がんなど13種類のがんの患者と健常者を2時間以内に99%の精度で網羅的に識別できることを研究開発レベルで確認したとしています。
マイクロRNAとは、体の中で遺伝子やタンパク質を制御している20塩基程度の短い核酸分子で、血液中にも安定に存在していることが知られています。最近、血液中のマイクロRNAの種類と量を調べると、肺がんや乳がんなどの様々ながんを早期に見つけられる可能性のあることが分かり、新しい診断マーカーとして期待されています。
今回の成果は、同社と東京医科大学および国立研究開発法人国立がん研究センター研究所の共同研究によるもので、今後、早期の社会実装に向けて、2020年から実証試験を進めていくとのことです。なお、この技術の詳細は、12月3~8日に福岡で開催される「第42回日本分子生物学会年会」で発表されます。
がんは1981年以降長らく日本人の死亡原因の1位を占めており、2018年のがんによる死亡者数は約37万人、生涯でがんに罹患する確率は男性62%、女性47%に上ります。一方、治療法の進歩により、がんは早期に発見することができれば、生存率が著しく向上しており、例えば肺がんの場合、ステージIIの5年生存率は約60%ですが、ステージ0では97%です。がんに罹患しても、早期発見により生存率を向上することは社会的に重要な課題となっています。
こうした課題の解決に向け、近年、簡便かつ高精度にがんを検出する手段として、血液中に約2,500種類あるマイクロRNAが注目されています。同社は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構の次世代治療・診断実現のための創薬基盤技術開発事業(体液中マイクロRNA測定技術基盤開発)に参画し、マイクロRNAを用いたがん検出技術の開発に取り組んでいます。
本共同研究では、東京医科大学と国立がん研究センターが持つマイクロRNAに関する高度な医学的知見と、東芝が開発したマイクロRNA検出技術を融合することで、13種類のがんの患者と健常者を99%の精度で網羅的に識別することに成功したとしています。
この中にはステージ0の検体も含まれています。今回の成果は、13種類のいずれかのがん罹患を簡便・高精度に検出するスクリーニング検査に適応可能で、独自のマイクロRNAチップと専用の小型検査装置を用いることで、検査時間を2時間以内に短縮し、即日検査への適応が可能となります。
東芝グループは、「東芝Nextプラン」において「超早期発見」「個別化治療」を特徴とした精密医療を中核として医療事業への本格的な再参入を表明しており、今回開発したマイクロRNA検出技術を用いることで、高精度でのがんの早期発見が期待でき、早期の治療が可能になり患者の生存率とQOL向上に貢献することができるとしています。