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【職場の感染症対策】マスク着用や消毒液設置、時差出勤など対策している企業は5割弱~9割以上が会社に対策を「して欲しい」

[2020/2/18 15:32]

 連日、新型コロナウイルスの感染が確認された人数が発表され、感染源のはっきりしない「市中感染者」も現れたことで、不安を感じながら通勤・通学している人が増えています。

 こうした状況を受けて、リモートワークで業務が進められるIT関連企業などでは在宅勤務に切り替える企業も出てきました。

 今後感染が広まるのか、比較的早期に収束するのかも見えない中、企業ではマスク着用を義務付けたり、一部社員を在宅勤務に切り替えるなど対応に苦慮しているようです。

 そうした状況の中、総合転職エージェントの株式会社ワークポートが「職場の感染症対策」についてアンケート調査を実施、結果を発表しました。

 調査対象はワークポートのサービスを利用するユーザー243人。


会社で感染症対策を「行っている」は5割弱。マスク着用を義務づける企業が多数

 調査で、現在勤務している会社で感染症対策を行っているかを聞いたところ、「はい」と回答した人は46.5%、「わからない」が13.2%、「いいえ」が40.3%で、何らかの対策を実施している会社は5割弱に上ることがわかりました。

 感染症対策を「行っている」と回答した人に、どのような対策が行われているか聞いたところ、ほとんどの働き手が「マスク着用の義務化」や「アルコール消毒液の設置」と回答しました。

 「会社からマスクを1人20枚配布された」(20代・男性・接客販売)、「インフルエンザの予防接種が必須となり会社から補助費が出た」(30代・男性・教育)といった、企業側が働き手の感染症対策を促すために金銭的補助を行う取り組みも見られました。

 また、「リモートワークが推奨された」(40代・女性・管理)、「通勤ラッシュ時を避けて通勤するように指示された」(30代・男性・営業)といった、人との濃厚接触を避けるために一時的に働き方そのものを変更する動きも。

 医療や教育従事者からは「毎朝職員の検温を義務化」や「次亜塩素酸での消毒徹底」などの具体的な取り組みも挙がりました。

 さらに、「社内で感染症対策についてのミーティングを行った」(30代・男性・システムエンジニア)、「社員向けの感染症対策研修が行われた」(30代・女性・医療福祉)といった、積極的に感染症対策についての話し合いや勉強の場を設ける企業の動きもうかがえました。

 一方で、半数以上は職場での感染症対策が行われていない、または行われているかもしれないがわからないと認識していることから、すでに企業間での対応に格差が出ているようです。


90%以上が企業に感染症対策を「行ってほしい」と回答

 企業には感染症対策を行ってほしいと思うか聞いたところ、「とても思う」71.6%、「やや思う」23.0%。合わせて94.6%と、ほとんどの従業員が会社ぐるみの対策を望んでいます。

 働き手にとって生活時間の大部分を占める職場。日本のオフィスは比較的従業員同士の席が近く、集団感染が発生しやすい環境でもあるため、企業側の積極的な感染症対策の取り組みが期待されるところです。


無理をして出社した経験「ある」が8割超! 半数は「38℃以上の高熱が出なければ出社」

 体調が悪くても無理をして出社した経験については、「ある」が83.1%。大部分の人は、体調不良を押して出社した経験があることがわかりました。

 調査では、平熱が36.0℃と仮定して、どの程度の体調不良ならば会社を休む判断をするかについても質問。

 最も多かった回答は、「38℃の高熱が出た」で53.5%でした。次いで2番目に多かったのは「37℃の微熱が出た」21.0%。「発熱していないが、悪寒や倦怠感がある」段階で休む人が14.8%で続きました。

 「39℃以上の高熱が出た」ら休むという人は5.8%、何度熱があろうと「休まない」という人も4.9%存在しました。

 まとめると、6割以上が38℃以上の高熱が出なければ会社を休まない、またはそもそも会社を休まないという結果に。

 8割以上が無理をして出社した経験があるという先のアンケート結果を裏付ける形となりました。

 体調が悪くても無理をして出社したことが「ある」と回答した人にその理由を聞いたところ、「ギリギリの人員でシフトを組んでいるため、自分が休むと本来休日である人が出勤することになり迷惑をかけるから」(20代・女性・接客販売)、「業務が属人化していて自分が休むと滞る業務があったから」(30代・男性・管理)、「開店作業が自分だけのシフトだったため」(20代・女性・接客販売)といった、人手不足や自身の業務を代わりに行える人がいなかったとする声が最も多く挙げられました。

 シフト制の勤務形態では最少人数でシフトを組んでいることが多く、無理をおしての出勤の背景には、ひとりが欠勤すると業務がストップしてしまうといった職場の実態があるようです。

 また、「病気による有給取得が認められない職場だったため」(20代・男性・事務)、「体調不良での欠勤は人事考課に悪影響を及ぼすから」(40代・女性・事務)、「会社を休むことを上司に拒否されたため」(20代・男性・運輸交通)といった、体調不良で仕事を休めるシステムや環境が整っていないため、やむを得ず出勤しているようすもみられました。

 さらに、「仮病だと思われたくなかったため」(30代・女性・営業)、「休んでしまうと次の出勤時に気まずくなると感じたから」(20代・男性・建築土木)、「休んだら信用を失いそうだと思ったから」(20代・女性・クリエイター)といった、周囲の目や評価を気にして休むことを躊躇している人も少なからずいることがわかりました。


体調不良でも「仕事を休みにくい」職場と感じている人が4割弱

 現在勤務している会社は体調不良のときに仕事を休める環境か聞いたところ、「とてもそうである」31.3%、「ややそうである」32.9%。体調が悪い時には「休める」人は合わせて64.2%と6割を超えました。

 ただし、体調不良で休む基準については、「38℃以上の高熱」と考えている人が多いことを考え合わせると、少々の体調不良では休みにくい人も含まれている可能性があります。

 一方、体調不良でも休みやすいかという質問に「あまりそうではない」26.3%、「まったくそうではない」9.5%と、合わせて35.8%が体調不良でも休みにくい職場であると回答。職場での感染症の流行につながりかねない状況下で働く人が少なくないことがわかりました。

[工藤ひろえ]