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世界初のソフト自販機「TAKERU」、その数奇な運命を講談で! NHK総合が「神田伯山のこれがわが社の黒歴史」第3弾「ブラザー工業・早すぎた配信ビジネス」を本日9日(火)放送~キン肉マンのライバル超人たちの再現VTRも

[2022/8/9 21:04]

 NHK総合で、「神田伯山のこれがわが社の黒歴史」の第3弾「ブラザー工業・早すぎた配信ビジネス」が2022年8月9日(火)22:50~23:20に放送されます。

 全国421万社、大小問わず一つや二つは抱える失敗談。調子に乗って大コケしたあの商品や、思わぬ落とし穴にハマった巨大プロジェクトなど、よそさまにはちょっと話しづらい黒歴史=苦労の歴史を、巷で大人気の講談師・神田伯山さんが語る異色の経済番組、それが「神田伯山のこれがわが社の黒歴史」です。黒歴史を笑いに変えながら、今に生きる教訓をあぶりだします。さらに、個性豊かなキャラクターによるコマ撮り演出も必見です。

 大好評だったという第1回「バンダイ・“世界一売れなかった”ゲーム機」、第2回「ヤマハ・半導体の落とし穴」に続く第3弾は、名古屋に本拠を置く「ブラザー工業・早すぎた配信ビジネス」。ミシンの製造・販売をルーツにタイプライターや家電・プリンターなど、新規事業に挑み続けるアグレッシブな社風を持つこの会社の黒歴史が、ゲームの自販機“TAKERU”。

 1980年代後半、円高で危機に陥ったブラザー工業が生き残りをかけて始めたさまざまな新規プロジェクト。1985年・通信事業の自由化を追い風に、ファミコンブーム全盛の時代、ゲーム業界に革命を起こそうと果敢に挑んだのが、電話回線を通じてゲームのデータを全国に届けるシステムで流通革命を起こそうと試みた、画期的なプロジェクト。

 そこに次々と降りかかる、予想外の事態とは…。早すぎた配信ビジネスとして会社の運命を大きく翻弄することに…。当時、渦中にいた社員たちの記憶とともに、その数奇な運命を講談で伝えます。注目のコマ撮り再現VTRは「キン肉マン」のライバル超人たちが、数奇な運命に翻弄される人々の姿を演じます。

 「ソフトベンダーTAKERU」は、ブラザー工業の安友雄一氏が中心となって開発し1986年に本格稼働した、世界初のパソコンソフトの自動販売機。主にパソコンショップ屋内に置かれ、最盛期には全国に約300台が設置された本体内にはパッケージに収められた何も記録されていない、各種ブランクメディア(フロッピーデイスク、ROMカセット)が保管されています。

ソフトベンダーTAKERU

 画面でソフトウェアを選択して、お金を払うとブランクメディアが出てきて、本体のフロッピーディスクドライブや、ROMライタにセットしてソフトウェアを書き込み、マニュアルがプリントアウトされます。

 ソフトウェアは内蔵CD-ROMドライブのほか、ISDN回線経由でもウンロードすることができ、対応機種は、FM TOWNS、FM-7、FM77AV、ダイナブック(東芝)、Macintosh、MSX、X1、PC-88mkII・SR以降、PC-98シリーズ、Windows3.1/95、X68000のソフトでした。

 通信を使ったソフト販売という画期的なビジネスモデルの「ソフトベンダーTAKERU」でしたが、当時は通信回線の速度や、マニュアルを印刷するプリンターの速度や表現力、メディアの書き込み速度など、環境が追いついておらず、ビジネス的には成功とは言いづらい状況のまま、1997年2月に全サービスが終了しました。ちなみに、この時、培われた技術はJOYSOUNDなど通信カラオケサービスや、証明書自動発行機などに活かされているそうです。

[古川 敦]