アニメ・マンガ

「アメトーーク!」でヒットを実感~「キングダム」の原泰久さんが母校で振り返った自身の歩み

[2015/10/21 11:27]

 10月17日、福岡市の九州大学大橋キャンパスにて「KYUSHU CEDEC 2015」が開催されました。「KYUSHU CEDEC」は横浜で毎夏開催のゲーム開発者向けイベント「CEDEC」の九州版。今回が初の開催です。

 当日は「妖怪ウォッチ」などで知られる地元・福岡のゲーム会社・レベルファイブの日野晃博社長による基調講演「日野流 企画立案術」に始まり、数々のセッションが実施されました。ここでは、その最後に行われた「キングダム」の作者・原泰久さんによる特別講演「人気連載漫画制作の裏側」をレポートします。

「KYUSHU CEDEC 2015」特別講演「人気連載漫画制作の裏側」

 聞き手を務めたのは、これまた「NARUTO」シリーズなどで知られる地元・福岡のゲーム会社・サイバーコネクトツーの松山洋社長。会場の大橋キャンパスは九州大学芸術工学部(旧・九州芸術工科大学)で、原さんの母校でもあります。

 原さんが大学に入ったのは、映画監督になりたいと思い、映像をやりたかったからなのだとか。ところが「当時、食べていけないって知ってどうしようと思ったら、マンガ家は監督、脚本、俳優から全部できるので」マンガ家を志すことに。

 原さんは大学3年の就職活動を意識した頃から行動に移しました。しかし「賞を取ってすんなりなれるだろうと思ったら、そんなに甘くはなくてなれなかった。大学院に行って、そこから雑誌には載ったけどプロにはなれなくて」就職。プログラマーになりました。

 マンガは描き続けていたものの忙しくて描けなくなり、会社を辞め貯金で生活します。各誌への持ち込みで一番評価してくれたのは「週刊少年マガジン」だったそう。その後「『週刊ヤングジャンプ』のコンテストに出したら入って、そっちにも担当さんができた」という状況になり、最終的にヤングジャンプで「キングダム」を描くことになったとのこと。

左から松山洋さん、原泰久さん

 原さんはヤングジャンプでの連載の直前、マンガ家・井上雄彦さんにお世話になったというエピソードも披露。担当さんの意向によりアシスタントとして「4カ月間だけ入れてもらった。当時は『バガボンド』『リアル』だけど、井上先生と一緒に仕事ができたのはいまだに稀有な経験」と振り返りました。

 また、5月28日放送の「アメトーーク!」で「キングダム」が特集された話も。「他の作品でも粘って何かのキッカケで急に売れるってのがあるから、とりあえずいいのを描くしかない。その粘り腰のご褒美が『アメトーーク!』。少しずつ売れてたけど、やっぱりヒットしたのは『アメトーーク!』の時で、認知度が上がった」と、ヒットの実感を語りました。

 ちなみに原さんは去年、東京から福岡に引っ越したとのこと。以前「福岡マンガTシャツ展」をレポートしましたが、ますます福岡のコミックシーンが盛り上がりそうです。

[真狩祐志]