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“代理原稿のまま連載”という、ひどい扱いを乗り越えてコミックス化した「我らひとしくギャルゲヒロイン」にさらなる荒波

[2016/5/26 14:04]

 KADOKAWAは、 コンプエース(毎月26日発売)で連載中のマンガ「我らひとしくギャルゲヒロイン」のコミックスを5月26日(木)に発売しました。価格は580円(税込526円)。電子版はオープン価格となりますが、Amazonでは税込580円で販売しています。

「我らひとしくギャルゲヒロイン」コミックス表紙

 マンガ誌「月刊コンプエース」で“代理原稿として連載中”という、意味のわからない状況で連載続行中のマンガ「我らひとしくギャルゲヒロイン」(わロイン)ですが、 まさかの単行本化が決定したとのこと。

 「わロイン」は、ギャルゲーをテーマにした4コママンガ。主人公・勇太との会話中に選択肢ウインドウが表示されているのを発見し、自分たちが「ドキドキ学園♥すとろべりぃぱらだいす」というギャルゲーの攻略キャラだということが発覚。主人公の攻略から逃れようとあの手この手でヒロインたちが奮闘する――という内容のギャグマンガです。

 無料Webマンガ誌「Comic Walker」に代理原稿として初登場し、話題ランキング1位を獲得。さらに単行本化キャンペーンが発足し、公約通り1,000RTを達成するなど、さまざまな荒波を乗り越えて、コミックス化を実現しました。

 ところが、発売初日にもさらなる荒波が。

 Amazon.co.jpを見てみると、コミックスは購入できますが、Kindle版は、発売日というのに「現在購入できません」と表示されています。

発売日なのに買えないってどういうこと?

 発売日なのに購入できないとはいったい……? レビューを見てみると、Kindle版を購入したユーザーが「途中に明らかに別の作品が混じっている」とレビューしています。どうやら現在はミスのあった版を差し替え中のよう。

途中で明らかに別の作品が混じっていたというレビュー

 楽天koboでは電子書籍版もふつうに販売されていることから、Kindle版だけ納品内容にミスがあったと推察されますが、電子書籍販売ではAmazon.co.jpはダントツのトップ。発売初日に最大手ストアで販売できないという状況は、“さらなる荒波”と言うしかありません。

 代理原稿のままで、いつ打ち切られるともわからない中で連載を続け、まさかのコミックス化を実現したと思ったら、さらなる荒波。さすがに作者が気の毒になってきます。

 「我らひとしくギャルゲヒロイン」は無料マンガ誌「Comic Walker」で試し読みも公開中。“マンガは電子書籍版で読む派”の方は、気になったらとりあえずそちらで読んでみてください。

 また、コミックス発売に際して、作者のじゅうあみさんと担当編集者のコメントが到着しています。このコメントを書いている時点では、お二人ともKindle版で事故が起こることは予測していなかったと思われますが……コミックス化までの苦労が忍ばれるコメントとなっています。

著者・じゅうあみ先生のコメント

 こんにちは。じゅうあみです。このたび初コミックス「我らひとしくギャルゲヒロイン」(以下「わロイン」)が出ます。

 一発ネタの読み切りとして発足した「わロイン」、第1話は当初25ページをコンプエースに一挙掲載という話だったのですが、急遽「今月号に載せる原稿が必要だけど25ページも要らないので分割して12ページ分を前編として載せます」と連絡を受け、読み切りなのにまさかの後編次号掲載。スタートダッシュで既に「都合のいい代理原稿」という地位を確立したのを昨日の事のように思い出します。

 その後もしれっと毎月のように代理原稿として載り続ける「わロイン」と、頑なに連載作品とは認めようとしないものの打ち切りにはしないコンプエース。ついに皆さまの応援のおかげでめでたく単行本化が決まったものの、同時に売り上げ次第では即打ち切りとも宣告され、このぬるま湯のような関係に終止符が打たれようとしています。

 2巻まで出してもらえるのか、または打ち切られるのか。それは蓋を開けてみるまでわかりませんが、3日に1回の頻度で「この人は正気なのか」と思わせる担当編集者(つい最近の発言は「販促企画として私が単行本を食べましょうか」)と二人三脚でここまで作り上げた「わロイン」。娯楽作品として自信を持って送り出していますので、少しでも興味があればお買い上げいただけると幸いです。

担当編集者のコメント

 こんにちは、担当編集者です。まず誤解を解いておきたいのですが、“担当編集者が単行本を食べる企画”はまだ生きています。発売日当日にパスタに乗せて食べる予定なのでコンプエース公式Twitterをぜひご確認ください(調理は編集長が担当予定)。

 上述のとおり基本的人権を無視したレベルでのひどい扱いをされ続けてきた企画ですが、平成の世ではありえないほどのド根性で単行本化を掴み取りました。

 「なんか出オチっぽい……」と思わず、フロンティアスピリッツを発揮して試し読みしてみて欲しいです。そして、「こんなに面白いのに新人のオリジナル4コマだとすぐ打ち切られるんだ……」と悲しい気持ちになるところまで共有してほしい。もし人の心があるのならば、きっと、応援のため、コミックスを購入したくなるのではないでしょうか? なるに違いありません。手軽にマザーテレサ気分が味わえる「我らひとしくギャルゲヒロイン」、一家に一冊、よろしくお願いいたします。

[工藤ひろえ]