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包茎手術の問題点を国民生活センターが図入りで公開~男性の美容医療相談の半数以上が包茎手術

[2016/6/23 19:54]

 消費者庁所管の独立行政法人国民生活センターが23日、「美容医療サービスにみる包茎手術の問題点」と題した、A4判26ページの資料を公開しました。

 問題点として、即日契約・即日施術の事例が多く、効果や必要性の説明を十分に受けていない施術が追加されていることがあり、施術後に痛みが残る、化膿した、感覚障害が生じるようになったなどの事例がみられるとのことです。

 国民生活センターでは、「効果だけでなく、リスクについてもしっかり説明を受け、理解して納得できるまで契約し、不要な施術は断り、即日施術は慎重に。ホームページや広告の情報を鵜呑みにせず、情報を集めましょう。トラブルにあった場合は、一人で悩まず、早めに消費生活センター(局番なしの188(いやや))へ」と注意をよびかけています。

 同センターのPIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワークシステム)には、美容医療サービスに関する相談が寄せられ、女性からの相談が多いものの、過去5年度分の契約当事者男性の相談件数2,131件をみると、包茎手術に関する相談が1,092件と半数以上を占めており、大きな減少はみられないそうです。(2016年5月27日までの登録分)

 契約当事者の年代別では20歳代が特に多く、包茎手術に関する相談1,092件のうち646件と全体の約6割を占めています。危害については、痛み、腫れなどが多くみられましたが、施術部分が裂けた、出血が続く、大量に出血した、組織の壊死という症状のほか、勃起障害や、射精障害などの性機能障害、排尿障害などの機能的な問題を生じているケースもみられます。

男性の美容医療サービスに関する契約当事者年代別相談件数(n=2,055※無回答を除く)

 危害事例には「手術後の痛みがひどい、機能障害など後遺症が生じた」という相談や、学術雑誌には「包茎手術を受けた後、縫合不全で尿道欠損し、尿道再建した症例」も紹介されているとのこと。また、高額な自由診療や、即日施術を強く迫られたケースのほか、不要と思われる手術を受けたケースや、保険診療だと思って受けたものもみられるそうです。

 さらに、国民生活センター紛争解決委員会が解決を図り、結果の概要を公表した包茎手術に関する紛争が15件あるほか(2009年4月~2016年4月末)、東京地方裁判所で消費者契約法による契約の取消しを認めた判決(2009年6月)などもあります。

 病院に行く際に心づもりしていた費用額は、5万円超~10万円以下が最も多く、実際の契約購入金額は50万円超~100万円以下が最多となっています。

 即日契約が多く、手術費用が100万円を超えるものもみられ、手術を受けた人の約4割が施術後に何らかの不安・不満、不具合を感じていました。

 主な相談事例として、「広告では7万円~10万円とのことだった。クリニックで、安い手術だと汚い仕上がりになると言われ、高い手術方法を勧められ総額約80万円の契約で、即日手術となった。術後の傷口がぱっくり割れてしまい、また、引きつれ感があり、陰茎部分が何も感じなくなってしまった」や、「ネット広告を見て出向いた。医師とは思えない男性から説明を受け、医師から手術費用が65万円と言われた。また、『ヒアルロン酸を注射しないと包茎に戻る。15万円のものは一生残る』と言われ、約200万円の契約。痛みが引かず、泌尿器科を受診したら、一部が壊死していると言われた」などが挙げられています。

 手術を受けた理由は衛生上の問題を意識した人が多くいましたが、包茎の状態により違いがあり、ネット上にある情報や雑誌の広告をきっかけに受けようと思った人が多くいようです。

 医師からのアドバイスとして、「仮性包茎では、多くの場合、清潔にしていれば問題はありません。すぐに施術が必要なのは、カントン包茎で狭窄部が戻らず疼痛や青く変色した場合以外ありません」として、そもそも施術が必要ない例が多いことを指摘。

 また、「緊急性のない施術に対し、医療機関を受診したその日に施術を受けるのはやめ、医者の説明、内容、金額に納得できたかを検討しましょう」と落ち着いて考えることを勧めています。

 さらに、「ヒアルロン酸など身体に吸収されるものの注入は、吸収されれば効果もなくなります。吸収されないものでは後遺症をもたらすリスクが高くなり、注入時に血管に入れば塞栓(そくせん)症を起こすことも考えられます。このようなトッピング治療は全く必要のないものです」とトッピング治療の危険性についても警告しています。

[古川 敦]