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「こち亀」が連載40週年・コミック200巻で連載終了。40周年記念絵巻 神田明神奉納式で発表~「40周年で祝ってもらったときにスッと消える感じが両さんらしい」

[2016/9/3 23:48]

 2016年9月3日(土)に東京・神田明神にて執り行なわれた「こちら葛飾区亀有公園前派出所」(著・秋本治さん)連載40周年記念完全描きおろし絵巻奉納式の記者発表で、「週刊少年ジャンプ」42号(9月17日発売)をもって連載終了することが発表されました。

秋本治さん

 「こち亀」は、「週刊少年ジャンプ」1976年42号(1976年9月21日発売)より連載がスタートし、現在まで一度の休載もなく連載が続く、秋本治さんによる少年漫画。ジャンプコミックス第1巻は1977年7月9日に発売され、最新刊200巻は2016年9月17日に発売。1巻から200巻までの日本国内のコミックスの累計発行部数は1億5,000万部以上となっています。

 今後は週刊連載・少年ジャンプの垣根を飛び出し、永遠に「両さん」というキャラクターは生き続けるとしていたます。詳細については同42号で発表されるそうです。

 連載終了について「週刊少年ジャンプ」編集部では、「まだまだ『こち亀』を読みたい気持ちは、読者の皆様と同じですが、先生が元気一杯に新たなチャレンジをしていきたいというご意見に敬意を表し、今回の発表とさせていただきました」と説明しています。

秋本治さんのコメント

 びっくりさせて申し訳ないです。今日、こんなめでたい席で終わっちゃうのは寂しいかもしれないけど、本当はすごくおめでたいことで、少年誌で漫画が40年続くってことはまずありえないですよね。

 やっぱり、少年誌は読んでくれる方がどんどん変わるし、ましてや週刊の方は色んな新しいのを入れながら動くってのが少年誌の王道なので。そんな場所で40年描かせてもらえたことは本当に嬉しいことなんです。

 ましてや200冊まで出してくれたっていう、集英社と週刊少年ジャンプ編集部に作家としては本当にどれだけ頭を下げても足りないぐらいです。200巻は作家にとって、勲章みたいなものですね。

 両さんはお祭りが大好きなんですね。で、200巻ということで、区切れの200で止めるのが一番こう、ぱっと身を引くのもいいし、40周年でみんなで祝ってもらったときにスッと消える感じがやっぱり両さんらしいし、そしたらこれしかないなということで。

 もちろん編集長とかはできるだけ描いてくださいというのもありましたけど、やっぱり両さんの引き際としては、200冊残して40周年で祝ってもらってスッと消えるのがやっぱり一番良い大団円の場かなと思いましてそれで決めました。これ本当に作家冥利に尽きる話で、もちろんいつまでもずっと描きたい気持ちはもちろんあるし、『こち亀』のネタはまだまだ沢山あります。

 でもやっぱり両さんはこれで一区切りつけて、機会があれば時々遊びにいくぐらいはいいかなと思ってます。

全長8mを越える絵巻を神田明神に「神宝」として永年奉納

 秋本治さんは、神田明神遷座400周年と「こち亀」40周年を記念して、全17枚のイラストを描きおろし、全長8mを越える絵巻を製作。作中にも度々登場し縁ある神田明神に「神宝」として永年奉納しました。

 この絵巻の正式名称は、【秋本治「こちら葛飾区亀有公園前派出所」連載四十周年 江戸総鎮守 神田明神 遷座四百周年 記念奉納絵巻】。両さんが生まれた戦後の浅草から、少年時代にあたる戦後昭和の様子、『こち亀』が連載を開始する1976年を経て、現在に至るまでの様々な時代や場所を、「こち亀」キャラ達が山車を引きながら練り歩く姿が描かれています。

 また、東京・下町を中心とした各時代を代表する子供の遊びや流行、歴史的事象も描かれ、文化史としての性格も持つ、8mにわたる一大絵巻になっています。

 奉納式には秋本治さんも参列し、「漫画というジャンルの絵巻が神田明神に奉納されて後世にずっと残るというのは、漫画家としても大変嬉しく思います」と喜びを語っています。なお、この絵巻は9月11日(日)までの約1週間、神田明神の祭祀殿で展示されるほか、9月14日(水)~26日(月)まで、日本橋髙島屋で開催される「こち亀展」でも出張展示されます。

 また、巨大な両さんがそびえる特別山車は、9月3日(土)11:00~17:00、4日(日)10:00~ 17:00で境内に設置されます。

特別山車

 奉納式には、作者・秋本治さん、株式会社集英社 代表取締役社長 堀内丸恵氏(ほりうち・まるえ)、「週刊少年ジャンプ」編集長瓶子吉久(へいし・よしひさ)氏をはじめ、約150人もの関係者らが参加。

 絵巻奉納に際し秋本治さんは、「今回の企画があがったときに、漫画の作品を絵巻にすることに不安はありましたが、『こち亀』で出てくるような下町の生活を綴ってもらいたいという事だったので、それなら両さんの子どもの頃から今に至るまでの風俗や流行りものを描こうと。記念にもなるし、こち亀の歴史にもなるから、やってみようという事でやりました。こうして実際に出来てみると、ああ、引き受けて良かったなと思います。漫画というジャンル の絵巻が神田明神に奉納されて後世にずっと残るというのは、漫画家としても大変嬉しく思います」と感想を語っています。

 また、9月17日(土)~9月30日(金)までJR亀有駅を「こち亀」がジャック。駅舎はもちろん、ホームや改札、階段などが、「こち亀」200巻分の表紙グラフィックや「こち亀」トリビアなどで埋め尽くされます。

 なお、神田明神に奉納された「こち亀絵巻」のミニチュア(3.8m)と、この絵巻にまつわる漫画や解説、秋本治さんのインタビューなどを収録した本の豪華セット「こちら葛飾区亀有公園前派出所∞巻(むげ んかん)」が11月4日(金)に発売されます。新書判サイズ、ケース入りで2,500円(税)となっています。

こちら葛飾区亀有公園前派出所∞巻 ※イメージ

 ちなみに、2016年9月5日に現在、Amazon.co.jpのKindleストアでは9月23日までの期間限定で、1巻、10巻、20巻、30巻、40巻、50巻、60巻、70巻、80巻、90巻、100巻(Amazonアフリエイト)が無料になっています。

[古川 敦]