米国で抗菌せっけんが販売禁止に。普通の石鹸より効果なく、害がある可能性も～普通の石鹸と流水で洗うのが最も効果的

　米食品医薬品局(FDA)が2日(現地時間)、19種類の成分を含む抗菌せっけんなどの販売を禁止すると発表しました。FDAでは、メーカーに通常の石鹸と水より安全で効果的であることを証明するよう要請していましたが、実証できなかったため、これらの製品は販売できなくなり、すでに一部のメーカーではこれらの成分を除去し始めているとしています。

　なお、この19種類に含まれるトリクロサンなどは、日本で販売されている薬用石鹸などに広く使用されているため、今後の対応が注目されます。

　FDA医薬品部のジャネット・ウッドコック(Janet Woodcock)氏は、「消費者は抗菌せっけんなどでの洗浄は、病原菌の拡散を防止するのに効果的であると思うかもしれませんが、普通の石鹸と水よりも効果があるという科学的な根拠はありません。実際のいくつかのデータは、抗菌成分が長期にわたって害を及ぼす可能性があることを示唆している」としています。

　今回の販売禁止対象は、医療機関で使用されている手の消毒薬などは含まれていませんが、抗菌せっけんのメーカーには1年以内の対応が義務付けられています。

　なお、FDAは「通常の石鹸と流水で洗うことは予防や、感染拡大を防ぐ上で最も効果的な方法の一つ。石鹸と水がない場合には、アルコール濃度が60%以上の消毒剤を使うと良い」としています。