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AKB総選挙・須藤凛々花の結婚発表で「ふざけんな金返せ」は法的にアリなのか? 弁護士YouTuber・久保田康介氏が解説動画を公開「いける可能性はあるんじゃないか」

[2017/6/19 13:21]

「ふざけんな金返せ」は法的にイケるのか? 弁護士がYouTubeで解説

 17日(土)に行われたAKB総選挙で、全部“もっていった”のが、20位のコメントで結婚を発表した須藤凛々花さん。

 須藤さんは総選挙直前まで、「(上位に入って)ジャケ写に載るぞ~っ!!」などとファンに投票を呼びかけていたこともあり、総選挙での結婚宣言にショックを受けたファンからは、ネットで「ふざけんな」「金返せ」といった悲鳴も上がっています。

 AKB48のCDを大量に購入して須藤凛々花さんを応援したファンは、須藤さんの電撃結婚発表で返金請求は可能なのでしょうか。

 弁護士YouTuberの久保田康介氏が、この問題を法的に真面目に解説。YouTubeで解説動画を公開しています。

 久保田康介弁護士は動画で「いける可能性はある」と考察。ここで返金請求するのはCDの購入代金という前提です。

久保田康介弁護士、返金請求は「けっこういける可能性があるんじゃないか」

 久保田康介弁護士は法的に考えられる構成として、「錯誤+不当利得」、「詐欺+不当利得」、「不法行為」の3つをあげましたが、錯誤と詐欺については「無理がある」と結論。

 一方、3つめにあげた不法行為については「いける可能性がある」として、「説明義務・告知義務」違反に当たる可能性があると指摘しています。

 久保田康介弁護士は、AKB48には恋愛禁止のルールがあり、交際相手がいるかいないかは、「投票するかどうかの判断に重大な影響を与える情報」であると指摘。

 須藤凛々花さん自身が交際相手がいることをファンに故意に隠していたことや、隠したうえで投票を呼びかけ、総選挙の場で自ら発表したのは、報道や須藤凛々花さんのTwitter投稿などからみてあきらかです。

 これにより、投票行動を左右する重大情報を故意に知らされないままCDを大量購入したファンは、財産権という利益が侵害されたという主張ができる可能性があると久保田康介弁護士は解説しています。

 もちろん購入したCD自体は聴くことができ、手元に届いているはずですが、購入するファンにとって実際に価値があるのは投票権。投票権を使用した後のCDは数十枚で1円といった価格でオークションなどに出品されていて、CD自体の転売価値はほぼないに等しい状態です。

 このため、久保田康介弁護士は、CDが手元にあっても、CD購入に要した金額を20万円として、手元に残ったCDの市場価値がたとえば10円だったとしたら、199,990円の請求ができる可能性がある、としています。もちろん、これはわかりやすくしたたとえ話なので、聴くために手元においておくCD代金などは除外することになると思われます。

アイドルグループで恋愛禁止条項があるのは判例で認められている

 久保田康介弁護士は判例を調べ、女性アイドルグループで恋愛禁止条項があるのは「チケットやグッズ等を多く購入してもらうために」「必要であったとの事実が認められる」との東京地裁の判例を上げ、判例で「恋愛禁止条項は認められている」例があることを動画で解説しています。

 久保田康介弁護士の動画は、素人にもわかりやすく、法律的な考え方を説明しています。法律の条文に照らして成立要件を満たしているかどうか、また前提とする条件に法的問題がないか判例を確認するなどは法律家ならでは。

 もちろん、実際に提訴するという場合には、AKB48の当初からの売り文句である恋愛禁止が、最近では“あってないような”なし崩し状態であるなど、さらに深掘りすべき要素が出てくると思われますが、「金返せ!」というファンの憤懣が法的にもまったくの筋違いではない可能性がある、と法律の専門家に言ってもらえるだけで溜飲が下がるファンもいるのでは。

 なお、動画は14分余りあるため、記事では大幅にはしょってご紹介しています。アイドルグループの恋愛禁止条項に関する判例についても、久保田弁護士の動画では詳しく紹介されています。

 興味のある人は動画で久保田康介弁護士のレクチャーを視聴することをおススメします。

[工藤ひろえ]