ライフ

風呂水、ジュースなど水分入れて1分で使える「インスタント電池」! 世界最小最軽量のマグネシウム空気電池が量産開始~従来の塩が必要、高価、発熱するなどの問題点を解消

[2018/5/23 20:39]

 次世代電池の開発・製造・販売を行なう、株式会社ドリームエンジンが、利便性が大幅に向上したというマグネシウム空気電池「enerseed (エネルシード)」の量産を2018年9月下旬より開始すると発表しました。

 マグネシウム空気電池は、マグネシウムを水・空気と反応させることでゼロから電気を生み出す電池として知られています。マグネシウムは海水に大量に含まれるため、人体や環境への安全性が高く、一般可燃ごみとして廃棄することができ、希少金属のリチウムなどと違い資源枯渇の心配がなく、安価に調達でき、マンガン乾電池と比べて体積当たりの発電効率が12倍などのメリットがあります。

 しかし、これまでのマグネシウム空気電池には「発電に塩が必要」、「発電開始直後は電力が弱く不安定」、「商品埋め込み型が多いため量産が困難」、「躯体が大きく高価」、「内部電気抵抗が大きく発熱する」、「熱膨張しやすい」などの弱点があります。

 ドリームエンジンが開発した「enerseed(エネルシード)」は、塩を使わず、水はもちろん水分を含む数滴の液体(風呂水やジュース、コーヒーなどでも可)のみで発電をはじめ、発電開始から1分後には安定した定格電力の供給を可能にしています。水を入れてから1分で使え、同社では「まさに『インスタント電池』と言える」としています。

 さらに、板ガムを2枚重ねた程度の大きさ(W23.0×D9.0×H69.5mm)に定格化し、「電池」として製品化したことで、月産5万個~20万個の大量生産が可能となり、商品単価500円と比較的安価での供給を実現したとのこと。また、12gと軽く、同等性能のマグネシウム空気電池としては、世界最小最軽量(同社調べ)としています。

 「enerseed(エネルシード)」は、改良を重ねて取得した複数の特許技術を駆使した「HYBRID ONECELL(ハイブリッドセル)」技術により、内部電気抵抗が大幅に下がり、電力の出力変動が安定し、継続的に1.1V、15mAの安定した電力供給を実現。また、エネルギーロスを大幅にカットしたため、ほぼ発熱せず熱膨張が起こらず、発電効率が上がり、マンガン・アルカリ乾電池と比べて発電持続時間が約2.5倍に増加するなど、「従来のマグネシウム空気電池の常識を覆す、革新的な電池」(同社)とのこと。

 動作温度は常温20度±15度、推奨保存温湿度5度~4度/20%~70%RH、発電時間は160時間で、マンガン・アルカリ乾電池と比べて未開封状態の使用推奨期限が3~5倍もあり長期保存が可能。日用電化製品はもちろん、アウトドア、レジャー、玩具などのホビー用品や、水害などの防災備蓄や海難・山岳救助、医療といった人命にかかわる製品など、幅広い分野の電力確保に適しているとしています。

[古川 敦]