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シダックスがカラオケ事業を「カラオケ館」運営のB&Vに譲渡 カラオケ事業には今後も関与するものの連結対象から切り離して経営成績と財政状態を改善

[2018/5/30 23:49]

 シダックスは30日、レストランカラオケ事業の相互発展に向け、「カラオケ館」などを運営するB&Vと資本業務提携を締結し、シダックスの連結子会社であるシダックス・コミュニティーの持分81%と、同社が保有するシダックス・コミュニティーシダックス・コミュニティーへの債権(97億円)を譲渡すると発表しました。

 今回の資本提携の内容はシダックスが所有するシダックス・コミュニティーの株式34,826,922株をB&Vに譲渡すると同時に、シダックスが所有するシダックス・コミュニティーへの債権全額を併せてB&Vに譲渡。その結果、シダックスのシダックス・コミュニティーの議決権所有割合は19%となることから、シダックス・コミュニティーはシダックスの連結子会社ではなくなります。

 しかしながら、シダックスグループではシダックス・コミュニティーに対して、レストランカラオケ事業に係る食材・消耗品の販売・配送、業務管理システムの提供、個人情報管理・会員サービスの提供を継続し、B&Vはシダックス・コミュニティーに対して経営指導、資金支援などを行ない、既存店舗のリニューアル及びオペレーションなどの改善による店舗の原価率の低下を図っていく予定としています。

 シダックスは従来、給食事業・レストランカラオケ事業・トータルアウトソーシングサービス事業を三本柱としていますが、収益が悪化していたレストランカラオケ事業の業績が連結グループに全体に与えるマイナスの影響が大きかった事実は否めず、今回の取引により、レストランカラオケ事業には継続的に関与するものの、シダックスグループ連結での事業ポートフォリオを転換し、今後、特に好調である「トータルアウトソーシングサービス事業」の成長を進めていく考えで、シダックスグループの経営成績及び財政状態は大きく改善していく事を見込んでいるとしています。

 シダックスのカラオケ事業は、1980年代にスタートし、1998年には業界1位となり、2004年には全国300店舗を達成するものの、2010年に「カラオケ本舗まねきねこ」に抜かれ、現在の店舗数は、ビッグエコー(第一興商)、まねきねこ、バンバン(シン・コーポレーション)に次ぐ4位となっています。

 逆風の中、業績の改善をすべく、季節毎の販促強化やゆったりランチの強化、諸経費のコスト削減や適切な人材配置による本部経費の削減に加え、2016年3月期より一部の不採算店舗をシダックス・コミュニティーの持分法適用会社であるシダックストラベラーズコミュニティーに移行し集中改善を行ない、不採算店舗の売却や閉店による大幅な赤字縮小対策などで自助努力してきたとします。

 しかし、一人カラオケ等消費者のニーズが大きく変化する市場環境の影響から、抜本的な改善には至らず2018年3月期においても大きな赤字を計上。今回、自助努力の次の段階として、同業を営むB&Vと資本業務提携を締結し、お互いの持つ強みを共有することで、自助努力では成し得なかった抜本的改善を目指すとしています。

 シダックスは主に郊外に出店、B&Vは主に東日本を中心とした繁華街に多くの店舗を有することからロケーションの点で競合することはなく、シダックスで今までに培った「レストランカラオケとしての高級感」や「食材の一元調達に関するロジスティックス」、B&Vの有する「高度なカラオケ運営ノウハウ」や「出店場所に関するリサーチ力」等の経営資源を互いに共有し有機的にこれらを統合することで、店舗売上が拡大及び原価率の低下により店舗の収益率が向上し、シダックス・コミュニティーの事業改善が着実に且つ迅速に行なわれると考えているとしています。

[古川 敦]