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ヒアリやスズメバチに刺されてみた! 百種千回以上刺されてわかった毒針昆虫のヒミツ「蜂と蟻に刺されてみた」が本日8日(金)刊行

[2018/6/8 20:36]

 白揚社が、昆虫エッセー「蜂と蟻に刺されてみた―『痛さ』からわかった毒針昆虫のヒミツ」(ジャスティン・シュミット氏著/今西康子氏訳)を2018年6月8日(金)に刊行しました。四六判上製366ページ+カラー口絵8ページで、価格は2,700円(税込)。

 著者のジャスティン・シュミット博士は、虫刺されの痛さの尺度「シュミット指数」を考案したことで知られます。この指数は、ながらく虫刺されの痛みが科学研究の対象になっていなかったことに気づいたシュミット博士が、自ら刺され、その痛さを数値にして記録することを考案し、痛みの強度をレベル1からレベル4の4段階とし、セイヨウミツバチに刺されたときの痛みをレベル2として基準に据えています。この研究は、2015年にイグ・ノーベル賞を受賞しています。

 「蜂と蟻に刺されてみた―『痛さ』からわかった毒針昆虫のヒミツ」では、昨年、世間を騒がせたヒアリ、夏の風物詩スズメバチとアシナガバチ、刺されたら最も痛いサシハリアリ……、お馴染みの面々から、外国の恐ろしいハチ・アリまで実際に刺されたシュミット博士が、その痛みを毒液や生態と関連させるというユニークな手法で、ハチとアリの知られざる一面を明かしていきます。

 100種類以上の昆虫に、合計1,000回以上刺されたというシュミット博士のみずから刺されるという研究スタイルは、インターネットで人気を博し、「虫に刺されたがる物好き」などと評されることも。でも実は、研究をしていてうっかり刺されたときにその痛さを記録していたり、他の人が刺されるように仕向けたり、もう刺されるのはうんざりとこぼしたりと、伝説のように語られるシュミット博士の意外な人物像が浮かび上がります。

 「[ミツバチに]刺されるのはもううんざりなので、刺されないように気をつけているからだ。なぜ、うんざりかって? ハローウィンのキャンデーをずっと食べていると、数日で飽きてくるように、いつも同じハチに刺されていると、そのうちいやになってくる」(本文より)

 「会議の合間をみて、私たち[研究者]は数台のバスに分乗してカンガルー島を訪れた。その帰り道、ドライバーが道路沿いにあるブルドッグアリの大きなコロニーを指差して、バスを停めましょうかと言ってくれた。……よし、チャンスだ……何気なく誘って、みんなにも刺されてもらおう」(本文より)

 2017年に日本に上陸し、世間を騒がせたヒアリ。外来ヒアリの侵入をゆるしてしまったアメリカの事例が紹介され、日本にヒアリが定着したときに起きるであろう事態を垣間見せてくれます。本書によると、ヒアリは人間が乱した生態系に侵入してくるのだそう。「ヒアリにとって一番の相棒は人間……ヒアリという生き物は脚が六本生えた雑草のようなもの」(本文より)

 気になるヒアリの痛みは、シュミット指数でレベル1。「刺されても大したことはない。……ミツバチよりも軽い痛み」と予想を裏切る事実が明かされます。強毒のアリとして報道されているヒアリではありますが、痛みの程度は低いらしいです。

 巻末の付録では、ユニークな記述で虫刺されの痛みを紹介。ミツバチとスズメバチ(北米産)の痛さが同じ「レベル2」だったりと、意外な発見も。ヒアリ(レベル1)は「突然チクッとくる軽い痛み。真っ暗な部屋で照明を点けようとして、パイル地のカーペット上を歩いていたら、カーペット鋲が足に刺さったような感じ」、サシハリアリ(レベル4)は「目がくらむほどの強烈な痛み。かかとに三寸釘が刺さったまま、燃え盛る炭の上を歩いているような」など実際に刺された博士ならではの解説が参考になります。。

 また、「ハチに刺されないようにするには息を止める」、「刺される場所によって痛みは違い、舌をさされるとミツバチでも『死んだほうがまし」と思うくらい痛い』、「ヒアリの巣を簡単に駆除する方法は、10リットルの熱湯を注ぐ」、「刺されて一番痛い昆虫は、サシハリアリという南米のアリ」、「巣の規模が大きい虫のほうが、刺されるとより痛い」など実践的なトリビアも身につきます。

[古川 敦]