森達也さんが麻原彰晃とオウム真理教を探った「A3」を無料公開 「オウム裁判の最大の問題点は何か。知ってほしいし気づいてほしい」
ドキュメンタリーディレクターでノンフィクション作家の森達也さんが、麻原彰晃とオウム真理教を探った著書「A3」を「note」で無料公開しました。
なぜオウムはサリンを撒いたのか。麻原は何を考えていたのか。何をしたかったのか。オウム裁判の最大の問題点は何か。知ってほしいし気づいてほしい。その思いで『A3』無料公開します。まだレイアウト不完全な箇所があるけれど、一人でも多くの人に読んでほしいから。https://t.co/ERLwm0cWib
— 森達也(映画監督・作家) (@MoriTatsuyaInfo)2019年1月24日
森達也さん「本来ならギャランティのない仕事は受けるべきではない。プライドや矜持のレベルではない。他の仕事との整合性がつかなくなるのだ」としながらも、「オウムについては、昨年の13人死刑執行も含めて、世に問いたいこと、言いたいこと、伝えたいことが、ずっと自身の内側で飽和している。『A3』は最も重要な作品だ。一人でも多くの人に読んでほしい。もっと多くの人に知ってほしい。もっともっと気づいてほしい」と思ってきたといいます。
刊行から十年以上が過ぎ、その思いは強くなるばかりで、「A3」単行本を担当した集英社インターナショナルの高田功さんと、文庫本の担当である集英社の中山哲史さんに相談したところ、「現在も版を重ねているのに無料公開など前例がないし、版元としても了解できるはずがない。そう答えられることは半ば覚悟していたが、二人は快諾してくれた」とのこと。
印刷所に保管されていたデータを二人の編集者経由で送ってもらい、レイアウトは公式サイトの管理人で、長い友人でもある宮澤宣圭さんが引き受けてくれ、文庫本で解説を書いた斉藤美奈子さんも、全文掲載を即答で了解してくれたそうです。
最後の課題は、月刊PLAYBOY連載時に、毎回掲載されていたイラスト。書籍化の際にはほぼ割愛されていましたが、できることならすべてのイラストを復活させたいけれども「無料公開は僕のわがままだ。無報酬を他の作家に強要できない」と思ったものの、イラストレイターの山本重也さんは「イラストが少しでも力になれば嬉しいです」と快諾してくれたそうです。
こうして多くの方々の応援と理解で無料掲載が実現でき、「それほどに読んでほしい。知ってほしい。気づいてほしい。麻原はもう処刑されたけれど、今からでも遅すぎることは絶対にない。だから間に合う。まだ間に合う。遅すぎることは絶対にない。事件は地続きで今に続いている。読んでほしい。知ってほしい。気づいてほしい。その思いで公開します」と今回の無料公開に踏み切った思いを語っています。