医師の6割は、医療マンガを読むのが好き! 現役医師が選ぶ医療漫画の1位は「ブラック・ジャック」~医療漫画の患者への影響については「過剰な期待が怖い」
医師の転職・アルバイト支援事業を展開する株式会社メディウェルは、医師会員に「好きな医療漫画」に関するアンケート調査を実施。20~70代の現役医師303名の回答をもとに、医師向けキャリアマガジン「エピロギ」で発表しました。
好きな医療漫画、1位は手塚治虫さんの名作「ブラック・ジャック」
現役医師が選ぶ「好きな医療漫画」のランキングは以下の通り。手塚治虫さんの名作「ブラック・ジャック」が1位となりました。
1位から4位までの、「ブラック・ジャック」「医龍-Team Medical Dragon-」「コウノドリ」「ブラックジャックによろしく」はいずれも医療の矛盾や不確実性、あるいは医局制度の問題点などにも切り込んだ作品です。
今年実写ドラマ化された「ラジエーション・ハウス」は番外編としてランクイン。選んだ医師は「放射線科の漫画が珍しく、メジャーになれば」とコメントしています。
なお、ランキングでは12位に「はたらく細胞」がランクインしています。専門家が見ても正確な説明が高く評価されている「はたらく細胞」ですが、現役医師から医療漫画としても評価されているようです。
全体のランキングはこちら。
医師の6割が「医療漫画を読むのは好き」
アンケートで「医療漫画を読むのは好きか」を聞いたところ、「はい」と回答した医師は全体の63%。6割以上の医師が好きということになります。
好きな理由は、「面白いから」54%が最多。次いで、「考えさせられるから」24%、「仕事の役に立つから」13%となりました。
「好きではない」と回答した医師に理由を聞くと、「リアルじゃないから」「医療漫画に限らず、漫画は読まない」がそれぞれ約30%。次いで「読む時間がない」20%が挙げられました。
医療漫画が社会へ与える影響について「過剰な期待が怖い」「仕事の過酷さを訴えてほしい」など
「医療漫画」が患者や社会に与える影響について質問したところ、「救急や外科系のスーパーマン的な側面を誇張し過ぎないで欲しいです。医師も人ですから(50代男性、病理診断科)」「奇跡がいつも起こることを期待される(40代男性、循環器内科)」など、医師の現実とはギャップがあるとの声が。
漫画ではどうしても、スーパーマン的な技術やプライベートもなげうって医療に打ち込む医師などが描かれることが多くなります。このため、「過剰な期待が怖いです(50代男性、精神科)」「奇跡がいつも起こることを期待される(40代男性、循環器内科)」など、プレッシャーを感じる医師も。
「読者は現実と漫画の境が分からなくなる。すべてがハッピーエンドではない(60代男性、麻酔科)」というのが医師の本音のようです。
一方で、医療について一般の人や社会が気づくきっかけになることを望む声も。「ブラックジャックによろしく」はインターンの過酷さや医局の人間関係についても描いていますが、そうした医師の現実について漫画を通して知った人も少なくないはず。
「医療現場の悲哀、矛盾や葛藤を伝える場になるとよい(50代男性、脳神経外科)」など、もっと医療現場について広く知ってほしいと考えている医師は多いようです。
また、「最近は、優れた漫画が増えている。良い影響を与える本が増加している(50代男性、精神科)」「真剣に医療を志す動機になったり、医療現場の苦しさを理解してもらえたりするきっかけになることはあるようで、その点はありがたい(40代男性、小児科)」など、医療漫画の影響を高く評価する医師も少なくないことがわかりました。