ライフ

15分で判定できる新型コロナウイルス検査キットをクラボウが16日に発売 特殊な装置や専門知識も不要~中国の提携先企業が開発したキットを輸入・販売

[2020/3/13 11:59]

 倉敷紡績(クラボウ)が、研究用に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の抗体を15分で検出する検査試薬キット「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体検査試薬キット」の国内販売を2020年3月16日(月)に開始します。なお、体外診断用医薬品ではなく、新型コロナウイルスの抗体の有無を見るための研究用試薬キットとしての使用に限定され、衛生研究所、臨床検査会社などの研究・検査機関にのみ販売されます。

 「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体検査試薬キット」は、感染の初期段階で生成される抗体「IgM」用の検査キットと、感染後長期間にわたり最も多く生成される抗体「IgG」用の検査キットの2種類があり、これらを併用することで、より精度の高い検査が可能となります。価格は、10検体分の1キットが、各25,000円(税別)。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体検査試薬キット(IgG)

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の世界的な感染拡大を受け、現在国内では、遺伝子を増幅させるPCR法による検査が一般的に行なわれていますが、この方法では結果が出るまでに時間がかかります。また、新型コロナウイルスを使った試験・検証も難しく、試薬や検査キットの開発にも時間がかかることから、簡便で迅速な検査方法のニーズが高まっています。

 同社の環境メカトロニクス事業部バイオメディカル部は、これまで食品中の成分や食中毒菌などのDNAを短時間で判定できる核酸クロマト法やイムノクロマト法試薬キットの開発・販売を行なっており、今回、中国の提携先企業が開発したイムノクロマト法の原理に基づいた「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体検査試薬キット」を日本国内に輸入し、販売を開始することを決定したとしています。

 なお、このの検査は、中国における標準診断法の一つとして、3月4日に中国での診療ガイドラインに採用されています。

「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体検査試薬キット」概要

 「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体検査試薬キット」は、少量の血清・血漿・全血をピペッターで専用のテストストリップに添加したのち検体希釈液(専用試薬)を滴下することにより、15分で新型コロナウイルス感染の有無を目視で簡単に判定できるとのことです。

 これにより、少量の血液を用いた簡便な操作で、迅速な検査が可能となり、特殊な装置や専門知識も必要がないため、PCR法の遺伝子検査と比べても、時間、コスト、作業スペースの削減など検査の大幅な効率化が図れるとしています。

 一般的なPCR法では、感染初期の患者に対しては、ウイルスの検出が難しいと言われていますが、このキットでは、感染時に体内で生成される特定の抗体を検出するため、感染初期の患者に対しても判定が可能。また、PCR法が採取サンプル中のウイルス量の影響を受けやすいのに対し、このキットでは血液中に抗体が存在すれば判定が可能なため、サンプル採取方法や採取部位による偽陰性が出にくいという特長があるとのこと。さらに、血液を使って判定できるので、検体採取時に懸念される検査作業者への二次感染のリスクも軽減できます。

【キット内容】
1キットで10検体分の試験が可能
 ・テストストリップ 10本
 ・専用ピペッター 10本
 ・検体希釈液(専用試薬)1本
 ・取扱説明書 1冊
適用サンプル:血清・血漿・全血

[古川 敦]