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大林宣彦監督追悼 “尾道三部作”完結編「さびしんぼう」が本日20日(土)に無料BS放送「BS12」で放送! 当時16歳の富田靖子と尾美としのりで思春期の揺れ動く感情を鮮やかに描く

[2020/6/20 09:34]

 三井物産100%出資の24時間全国無料のBS放送局「BS12 トゥエルビ」が、大林宣彦監督の“尾道三部作” 完結編「さびしんぼう」を、「土曜洋画劇場」の特別編として2020年6月20日(土)21時00分から放送します。

 映画「さびしんぼう」は、2020年4月に82歳で亡くなった大林宣彦監督が「転校生」「時をかける少女」に次いで、故郷を舞台に制作した“尾道三部作”の最終作。カメラが趣味の高校生ヒロキ(尾美としのりさん)は、望遠レンズで見つけた女子高校生の美少女(富田靖子さん)に夢中になり、彼女のことをひそかに「さびしんぼう」と名付けています。

 ある日、彼の前に道化服の不思議な少女(富田の二役)が現れ、自分は「さびしんぼう」だと名乗りますが、実は彼女は…。

原作:山中恒『なんだかへんて子』
監督:大林宣彦
出演:富田靖子、尾美としのり、藤田弓子、小林稔侍、岸部一徳、樹木希林、小林聡美、ほか

みどころ(映画評論家・立花 珠樹 氏)

 初恋の切なさや両親への反発と和解など、思春期の揺れ動く感情を鮮やかに描いたファンタジー作品で、黒澤明監督や映画評論家の双葉十三郎氏らに絶賛された。本作品の主人公である寺の一人息子役は尾道三部作すべてに出演する尾美。住職の父・道了(小林稔侍)や母・タツ子(藤田弓子)をロマンも何もない大人と思って軽蔑していたが、「さびしんぼう」との出会いがきっかけで両親の生き方や深い愛情を知り、少年から大人に成長していく過程を好演している。

 富田は公開当時16歳。清楚(せいそ)という言葉がぴったりなヒロインが、この映画を忘れられないものにした。『転校生』の小林聡美(本作品も出演)、『時をかける少女』の原田知世のように大林監督は富田の魅力を引き出した。恋をするとは寂しさを知ることだ。自伝的な色彩が強いこの作品から、大林監督の優しさが素直に伝わってくる。全編に流れるショパンの「別れの曲」が胸に染みる。

[古川 敦]