思春期に女子と面と向かって話せなかった原体験から生じた15年の妄想の集大成! 青山裕企写真集「SCHOOLGIRL COMPLEX A to Z 」が発売~未発表作を多数含む500点を収録。コンプレックス解消までの変遷 [写真16枚]
青幻舎が、写真家 青山裕企氏が2006年から続けているヒット作品「SCHOOLGIRL COMPLEX」シリーズの最新作にして集大成となる写真集「SCHOOLGIRL COMPLEX A to Z」を2021年9月末に刊行しました。A5変型512ページで、価格は4,500円(税別)
「schoolgirl complexは、青山裕企氏が2006年から制作を続けている作品。思春期の頃に、同級生の女子たちに対して、眼を見るのはもちろんのこと、面と向かって話すことすらできず、今となっては彼女たちの顔も思い出せないほどだという青山氏が、原体験から生じた妄想を巡らせ、青山氏にとっての“schoolgirl”たちに対する“complex”をテーマに撮影がスタートしました。
透けるシャツ、ソックス、チェックのスカートからのびる足、膝裏、ほくろ、かさぶたなど、画一的な制服を身にまとっていても、女子学生たちの個性の痕跡はたしかに存在している――。思春期の頃の青山氏はそれらに対して強い妄想と欲望を抱くと同時に、女性に対して強い恐怖心(コンプレックス)があったといいます。そんな複雑な感情、妄想、欲望を、徹底的に洗練された形で表現し記号化することを目指して、“schoolgirl complex”の基本の表現が生まれました。
シリーズは全部で15を数え、撮影を重ねるごとに青山の妄想は加速。過ぎ去った思春期を必死に思い出して“package”しようと、緩衝剤やビニールで女子学生を包んでみたり。学校という閉鎖された空間から離れて、その対極にあるような「世界の終わり」を想像させる荒涼とした地を舞台にした“女の子同士の謎めいた関係性”を撮影するため、アイスランドロケを敢行したり……。
果ては「制服を脱いだら、その記号性の内側には何が存在しているのか」という本能的かつ欲望的な関心から、“制服とともに記号性も脱ぎ捨てた女子学生”というシリーズも生まれ、とうとう“schoolgirl”という縛りすらなくなってしまいました。
15年間に及ぶ撮影の中で、撮影対象が“青山と女の子の距離感”から“女の子同士の関係性”に移り、さらに女の子たちの記号性ではなく個性にも焦点を当てるように変化。その結果、記号性の象徴でもあった「顔を写さない」というルールも取り払われ、関心の対象の変化と共に青山自身のコンプレックスは次第に解消されていき、今回の「SCHOOLGIRL COMPLEX A to Z」で15年分の“schoolgirl complex”の全貌(A to Z)をまとめることで、妄想を巡らせ、加速させてきた旅はいったん一区切りとなるとのこと。
物語は終焉を迎えるのか、新たな妄想の扉が開くのか――。
“schoolgirl complex”全15シリーズの歴史
「青山裕企(あおやま・ゆうき)」氏のプロフィール
写真家|Mr.Portrait
1978年、愛知県名古屋市生まれ。2002年、自転車で日本縦断と世界二周の旅の道中で、写真家になることを決意。筑波大学人間学類心理学専攻卒業後、2005年、上京して写真家として独立。2007年、キヤノン写真新世紀優秀賞受賞。ギャラリー・出版レーベル・オンラインコミュニティを運営。現在、東京都在住。
『schoolgirl complex』『ソラリーマン』『少女礼讃』など、“日本社会における記号的な存在”をモチーフにしながら、自分自身の思春期観や父親・少女像などを反映させた作品を制作。2009年より写真集などの著書を刊行、現在90冊を超える(翻訳版も多数)。台湾・香港・中国・シンガポール・スペイン・ニューヨークなど、海外で個展やアートフェアなどに多数参加。