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東京メトロ八丁堀駅の多機能トイレで入室から約7時間後に倒れている人を発見 入室30分以上を通知するケーブルは未接続、非常ボタンのブレーカーは切れていた~搬送先の病院で亡くなったことを確認

[2022/3/2 19:47]

 東京地下鉄(東京メトロ)が2日、日比谷線八丁堀駅構内の多機能トイレに16時頃に入室した人が、トイレ内で倒れていたのを2021年6月7日(月)23時05分頃に発見したと発表しました。当該多機能トイレに装備されている30分以上の在室、または非常ボタンを押下した際に駅事務室へ通知される警報が作動しなかったことにより、発見が遅れたことが判明したとしています。

 なお、発見後病院へ搬送され、搬送先の病院で亡くなったことが確認されいるとのことです。同社では「多くのお客様がご利用になる多機能トイレにおいて、このような機能上の不備が判明しましたことにつきましては、お客様の信頼を著しく損なうものであり、ご利用のお客様に深くお詫びするとともに、関係者の皆さまにもご迷惑をおかけしましたことを深くお詫びいたします」と謝罪しています。

 また、「当社として今回の事態を厳粛に受け止め、弊社施設内の各種設備について保守・点検を徹底し、再発防止に取り組んでまいります」としています。

概況

 2021年6月7日(月)23時00分頃、日比谷線八丁堀駅構内巡回中の警備員が多機能トイレ使用中ランプの点滅を認め、駅事務室に連絡し、多機能トイレの鍵を持参した駅係員と警備員で多機能トイレへ急行。23時05分頃、多機能トイレのドアを開錠のうえ入室したところ、倒れている人を発見したため、駅係員により119番、110番通報を行ない、到着までの間、救命活動を行なったとのこと。

 当該多機能トイレは、多機能トイレ内30分以上の在室又は非常ボタンを押下した際に駅事務室へ警報が通知される仕組みとなっており、あわせて、多機能トイレ内30分以上の在室で扉横の使用中ランプが点滅する仕組みです。

 しかし、当時、30分以上の在室を検知し、警報を通知するシステムのケーブルが繋がっておらず、非常ボタンを押下することで駅事務室への警報を通知する機器のブレーカーが“切”状態となっていたことから駅事務室への警報が鳴動しない状態であったことが判明したとしています。防犯カメラの映像により、16時頃入室していたとのことです。

 なお、2012年6月の多機能トイレ供用開始前においても、機能確認試験が行なわれておらず、また、その後の定期的な機能確認が行なわれていなかったとのことです。

発見が遅れた原因

(1)多機能トイレ内において30分以上の在室を検知することによって、駅事務室に警報を通知するシステムのケーブルが繋がっていなかったため。

(2)多機能トイレ内の非常ボタンを押下することで駅事務室への警報を通知する機器のブレーカーが“切”状態となっていたため。

(3)2012年6月の多機能トイレ供用開始前において、機能確認試験が行なわれておらず、また、その後の定期的な機能確認が行なわれていなかったため。

判明後の対応

 当該多機能トイレ及び同様の機能を備えた多機能トイレ(約220箇所)の30分以上の在室を検知するセンサー(在室を検知するセンサー付き多機能トイレの全数である約180箇所)及び非常ボタン(多機能トイレの全数である約220箇所)について、機能が正常に動作するかに関する緊急点検を実施。不具合が認められた箇所は、2022年3月1日までに修理を実施したとのこと。また、関係役員会及び経営会議を開催し、再発防止の徹底を図るよう周知を行なったとしています。

再発防止策

(1) 多機能トイレ供用開始前の機能確認試験を確実に実施。
(2) 機能確認試験の項目に抜け漏れがないようチェックリストを作成し、同種工事においてはチェックリストを用いて確実な機能確認試験を実施。
(3) 定期的に設備の点検を実施。
(4) 第三者を含めた有識者委員会を立ち上げ、原因究明・再発防止を徹底し、社内連絡体制の再構築を図る。
(5) 駅係員等による構内巡回時の重点確認箇所(多機能トイレ等)の確認を徹底

[古川 敦]