エアコンをつけっぱなしにするのと本当に安いのか!? ダイキンの調査隊が徹底検証!~約7割が「つけっぱなしの方が安い」と思っているのに、実践しているのは約5割
ダイキン工業が2011年6月より活動している、空気にまつわる素朴な疑問を検証する「ダイキン 空気のお悩み調査隊」で、「エアコンをつけっぱなしにするのとこまめに入り切りするのでは、どちらが安くなるの?」の検証結果を発表しました。
同社が、夏場のエアコン利用に関する生活者アンケートを行なったところ、約7割の人が「つけっぱなしの方が電気代が安い」と考えているものの、実際に外出時にエアコンのつけっぱなしを実践している人は約5割にとどまっており、半信半疑の人が多いという結果に。
そこで、調査隊が大阪市内のほぼ同じ条件のマンション2部屋を使って実際にエアコンを「つけっぱなし」、「こまめに入り切り」で運転し検証。
検証に使用したのは、大阪府大阪市の2006年3月建築の鉄筋コンクリート造14階建て。部屋の広さは約14畳で、2階と3階の階違いの同じ間取りの部屋を使用し、エアコンは「うるるとさらら Rシリーズ AN40TRP-W 4.0kW」を、冷房26度、風量自動で運転しています。
【検証1】
・「つけっぱなし」の方が消費電力が小さくなる時間帯を探る
9:00から23:00まで「つけっぱなし」にしたエアコンと、30分間隔でON/OFFを繰り返したエアコンの消費電力量を比較し、「つけっぱなし」の方が安くなる時間帯を調査。
日中9:00~18:00までの時間帯は30分間であれば、エアコンを切らずに「つけっぱなし」にする方が電気代が安くなった。
エアコンは、基本的に運転を開始した直後の室内温度と設定温度の差が大きいときに電力を多く消費し、「つけっぱなし」・「こまめに入り切り」したときの消費電力量は、グラフで黄色に塗られた面積の大小で決まります。
消費電力の傾向から、日中(9:00~18:00)・夜(18:00~23:00)の2つの時間帯に分けてみると、それぞれの時間帯の累積の消費電力量はグラフ4のようになります。
消費電力は、外気温の変化や陽射しなど天候の影響を大きく受けるため、条件が異なるとこの限りではありません。基本的に、エアコンは運転を開始した直後に消費電力が大きく、設定温度に到達した後は消費電力が小さくなります。しかし、急激な温度上昇があった場合などには、設定温度を維持するために、消費電力が上昇することもあります。この様な場合は日中であってもエアコンを「つけっぱなし」にした方が消費電力量が大きくなることもあります。
【検証2】
・1日の想定生活スケジュールで、「つけっぱなし」と「こまめに入り切り」の消費電力量を比較
1日の生活スケジュールを想定して、9:00から23:00まで「つけっぱなし」にしたエアコンと、外出時に運転をOFFにしたエアコンの消費電力量を比較。
想定した1日の生活スケジュールで「つけっぱなし」にして運転すると、外出時に運転をOFFにするよりも1日の消費電力の合計が大きくなった(1日の電気代差は約35円)。
実際は環境によって大きく左右されますが、今回の実験条件では、日中の気温が高い時間帯の30分程度の外出であれば、「つけっぱなし」の方が安いという結果に。また、エアコンを「つけっぱなし」にした部屋と「こまめに入り切り」した部屋の温度と湿度を比較したところ、「こまめに入り切り」した部屋の運転をOFFにした後の温度、湿度はともに高く、快適性に大きな差があることもわかりました。
1日の消費電力量は「つけっぱなし」が5.7kWh、「こまめに入り切り」が4.4kWhで「つけっぱなし」の方が大きくなりました。電気代に換算すると「つけっぱなし」が153.9円、「こまめに入り切り」が118.8円となり、「つけっぱなし」の方が1日で35.1円高くなります。
「つけっぱなし」と「こまめに入り切り」の消費電力に差が生まれた最大の要因は、エアコンの運転をOFFにした外出時間の長さにあり、消費電力量の推移を見てみると、11:00~12:00の買い物の時間、18:00~20:00の外食の時間に大きく差がついています。
日中9:00~18:00までの時間帯は、30分程度の外出であれば、エアコンを切るよりも「つけっぱなし」にする方が電気代が安くなりましたが、今回の実験のように外出時間が長くなると、エアコンの運転をOFFにした方が消費電力量は小さくなると言えそうです。
一方、設定温度に到達したら運転をOFFにし、10分程度の短い時間でまた運転をONにするというような運転をした場合には、エアコン起動時の消費電力が高くなる回数が多くなり、「つけっぱなし」の方が安くなると推察されます。
調査隊が提案する上手なエアコンの運転方法
今回の実験結果から、実際の消費電力は環境によって大きく左右されるため、必ずしも「つけっぱなし」にした方が安くなるわけではないことが明らかになりました。
「つけっぱなし」の方が安くなる時間帯を調べた実験に基づいて、1日を日中(9:00~18:00)・夜(18:00~23:00)の2つの時間帯に分類し、それぞれの消費電力の傾向から、何分までの外出であれば「つけっぱなし」の方が安いのかを計算すると、「日中は、35分までの外出であれば、エアコンを『つけっぱなし』の方が安い」、「夜は、18分までの外出であれば、エアコンを『つけっぱなし』の方が安い」ということになります。
「つけっぱなし」と「こまめに入り切り」の室内温度を比較したところ、外出中にエアコンの運転をOFFにした「こまめに入り切り」の部屋は、帰宅時の温度が高くなっり、30分の外出から帰宅した14:30を見てみると、「つけっぱなし」にした部屋が温度26.5℃・湿度69%、「こまめに入り切り」した部屋が温度27.5℃・湿度77%と、「こまめに入り切り」した部屋の方が湿度も高く、快適性に差がありました。帰宅時の快適性も考慮して、状況に応じて「つけっぱなし」と「こまめに入り切り」を上手に使い分けましょう。
アンケート結果
夏場のエアコン利用に関して100名の方にアンケートを行ったところ、約7割(67.0%)の人が「つけっぱなしの方が電気代が安いと思う」と回答。「つけっぱなし」が省エネにつながると考えている人が多いようです。しかし、実際にエアコンをつけっぱなしにして外出している人は約5割(53.0%)にとどまり、本当に「つけっぱなし」の方が安くなるのか疑問を持っている人、外出時でも「つけっぱなし」にすることに抵抗がある人が多いのではないかという結果に。
「どれくらいの時間部屋を不在にするのであればエアコンを切った方が電気代が安いと思いますか。」とたずねたところ、「不在時は常に切ったほうが安い」という回答を除くと、「30分以上1時間未満」という回答が最も多い(20.0%)結果になっています。