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8割超の人が「働き方改革」を実感できず「有休が取りにくい」「給料格差」「残業が減らない」~ビジネスパーソン1,000人に聞いた「働き方改革」調査

[2017/12/5 07:00]

 日本能率協会は、政府が最重要課題の1つと位置づける「働き方改革」について全国のビジネスパーソン1,000人を対象に調査、結果を発表しました。

「働き方改革」って何?

 政府は“一億総活躍社会実現”に向け「働き方改革」を推進しています。超高齢化が進み、このままでは国内の労働者人口は減っていく一方。

 主婦や高齢者など、働く能力も意欲もあるのに現状では働く場が限られる人々も多く、こうした潜在的な労働力を活用することで、労働人口減による貧困層の拡大を防ぎ、経済の活力を高めることが目的です。

 具体的には、時短勤務や在宅勤務など多様な働き方を可能にし、格差の固定化を避けるために同一労働同一賃金を実現することなどを掲げています。「働き方改革」について実行計画のロードマップがまとまったのは今年3月末。今後10年かけて法整備を行っていく計画で、2017年度中は関連法案の提出などを行う段階。

 このため現状では、企業には“法の足かせ”もなく、意識改革を呼びかけている段階となっています。

 今回の調査では、実際に「働き方改革」を実感できている人は2割弱。人手不足の“売り手市場”も追い風となって法制化を待たず改革に着手している企業も一部あるようですが、8割超の人が現段階では改革を実感できていないことがわかりました。

「働き方改革」でイメージするのは、「有休取得」「残業減」

 「働き方改革」と聞いてイメージすることを聞いたところ、男女とも「有休取得」「残業減」が2トップに。次いで、「育児と仕事の両立」「女性活躍」「生産性向上」を上げています。

 とくに、「有給休暇が取りやすくなる」37.6%、「残業が減る」36.0%の2つは4割近くに上り、多くの人が改善を望んでいることがわかります

「働き方改革」と聞いてイメージすること(複数回答)


8割超の人が「働き方改革」を実感できず「有休が取りにくい」「給料格差」「残業が減らない」

 働き方改革を実感しているかどうかを聞いたところ、全体では「あまり実感していない」が41.5%、「まったく実感していない」が39.2%となり、実感できない人は、8割を超えています。

 実感できない理由TOP3は、「有休 取りにくい」「給料格差 なくならない」「残業 減らない」。性別にみると、男性より女性、年代別でみると40~50代、雇用形態別でみると、正規職員より非正規職員の方が、働き方改革を実感していないことがわかります。

職場での「働き方改革」を実感しているか(「働き方改革」の意味がよく分からないと回答した人を除く)


働き方改革を実感できない理由は「有休が取りにくい」「正社員と非正規の格差」「残業が減らない」

 働き方改革を実感できない理由のTOP #は、1位「有給休暇が取りにくい」28.2%、2位「正社員と非正規社員の給料の格差がなくならない」26.6%、3位「残業が減らない」24.1%となりました。

 実感できない理由は、男女で違いが見られます。

 男性では、1位「残業が減らない」29.8%(女性より12.2ポイント高)、2位「有給休暇が取りにくい」28.2%、3位「生産性が向上しない」27.4%(女性より12.3ポイント高)の順。

 女性では、1位は「正社員と非正規社員の給料の格差がなくならない」37.7%で、男性より20.8ポイント高く、4割近くに達しています。次いで2位は「有給休暇が取りにくいから」28.1%、3位「管理者が働き方改革に積極的ではないから」19.4%となりました。

 男性は生産性を上げて残業を減らしたいと望み、パートなど非正規で働く人が多い女性は政府の掲げる「同一労働同一賃金」の実現を望む人が多いことがわかります。

 一方で、有休が取りにくい悩みは男女共通。男女とも3割近くの人が有休が取りにくいと感じていて、改善を望んでいるようです。

職場で「働き方改革」を実感していない理由(複数回答/上位10項目を抜粋)
[工藤ひろえ]