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防衛省が韓国海軍艦艇による火器管制レーダーの探知音を公開 「韓国側と協議を続けていくことはもはや困難」と判断し、さらなる根拠として公開

[2019/1/21 18:18]

 防衛省が21日、韓国海軍駆逐艦から海上自衛隊第4航空群所属P-1哨戒機(厚木)への火器管制レーダーの照射された件について、日本側が有する客観的事実を取りまとめた防衛省の最終見解と、同機が探知した音を公開しました。


 防衛省としては、韓国駆逐艦による海自P-1哨戒機への火器管制レーダー照射について、改めて強く抗議するとともに、韓国側に対し、この事実を認め、再発防止を徹底することを強く求めるとしています。さらに、これ以上実務者協議を継続しても、真実の究明に至らないと考えられることから、本件事案に関する協議を韓国側と続けていくことはもはや困難であると判断したとのこと。

 防衛省では「本公表が、同種事案の再発防止につながることを期待するとともに、引き続き、日韓・日米韓の防衛協力の継続へ向けて真摯に努力していく考え」としています。

 今回公開された音は、2018年12月28日に公開された動画では6分45秒ごろにクルーが「めちゃくちゃすごい音(電波強度)だ。」と表現していた音。海自P-1哨戒機の乗組員が機上で聞いていた、探知レーダー波を音に変換したデータを、保全措置を講じた上で火器管制レーダー照射のさらなる根拠として、公開したとしています。

韓国海軍艦艇による火器管制レーダー照射事案について

 一般に、火器管制レーダーは、ミサイルや砲弾を命中させるために、目標にレーダー波を継続的に照射して、その位置や速度等を正確に掴むために用いるものであり、回転しながらレーダー波を出して、周囲の目標を捜索・発見するための捜索レーダーとは、波形などのデータに明確な違いがあるとのこ。このため、レーダー波を解析すれば、その種類や発信源の特定が可能であり、今回、海自P-1哨戒機に照射されたレーダー波は、火器管制レーダー特有の性質を示していたとしています。

 防衛省の解析結果などから、このレーダー波が、海自P-1哨戒機が写真撮影などを実施した韓国駆逐艦の火器管制レーダーから発せられたことは明らかであるものの、客観的かつ中立的に事実を認定するためには、相互主義に基づき、日本が探知したレーダー波の情報と、韓国駆逐艦が装備する火器管制レーダーの詳細な性能の情報の双方を突き合わせた上で総合的な判断を行うことが不可欠としています。

 そこで、防衛省は、2019年1月14日の実務者協議において、相互主義に基づき、解析結果のもととなる探知したレーダー波のデータやレーダー波を音に変換したデータなど事実確認に資する証拠と、韓国駆逐艦の火器管制レーダーの性能や同レーダーの使用記録などを、情報管理を徹底した上で突き合わせ、共同で検証していくことを提案したものの、受け入れられなかったとのこと。なお、2018年12月27日の実務者協議でも、同趣旨の提案をしているととしています。

[古川 敦]