運航乗務員制服にも女性用を新導入! JALが新制服デザインを発表~雨衣や防寒衣などのアウター類はモンベル製
日本航空(JAL)が23日、2020年4月に導入する、航空運送事業に関わる全部門の新制服デザインを発表しました。なお、客室乗務員の制服については、寄せられた意見も踏まえた作り込みを経て、最終決定したとのこと。
JALグループスタッフが誇りを持って新制服を着用し、「世界で一番お客さまに選ばれ、愛される航空会社」を目指すとしています。
基本コンセプトは、各方面からも高い評価を得ている現行制服における優れた点を生かしながら、必要な品質・機能を兼ね備えたもので、SDGsが目指す社会の実現に貢献すべく、取引先と一緒に東京2020大会において示されている「持続可能性に配慮した調達コード」への対応に取り組んでいるとのこと。
また、耐久性向上や再生ポリエステル使用などによる環境への取り組みを行うとともに、多様性に配慮したラインアップによりスタッフが生き生きと活躍できるものとしています。
今回の新制服は、実際に制服を着用しているJALグループスタッフで構成されるプロジェクトチームを中心に、基本コンセプトとコストを総合的に判断し選定。客室乗務員の制服については、候補案に対して数多くの意見をもらい、最終決定した候補に対しては、「スタイリッシュに感じる」「新しい感じがする」といった多数の意見があったとのこと。
また、「袖の形状が業務に適するのか」「女性用にパンツスタイルを導入すべきではないか」など、実際に改善につなげた提案も多くあったとしています。そういった意見とJALグループスタッフの声を反映すべく試行錯誤を重ね、基本コンセプトを実現する新制服を実現したとのこと。
客室乗務員
デザインを担当したクリエイティブディレクター、江角泰俊(えずみ やすとし)氏により“Hybrid Modern Beauty”をテーマに、「洗練されたハイブリットビューティ」「ハイブリッドが生み出す、現代的な美しさ」を表現。
異なる素材を組み合わせたハイブリッドという最新のデザイン手法を用い、ロゴマークの「鶴丸」とブランドカラーで視認性の高い色を一部アイテムに活かしながら、オリジナリティがあり洗練されて着心地が良く高い動作性を実現した制服とのこと。
鶴の流線型をあらわす立体的なシルエットのワンピースは、航空会社の制服では極めて珍しいバルーンスリーブを採用。採用にあたっては、寄せられた意見を踏まえ、袖形状を業務に最適化したボリューム・動きに設計されています。
スカーフは、大判化した上、曲線と直線を融合させたデザインで、JALの翼で交流を促進していくという意味合いを込めるとともに、テーマの“Hybrid”を視覚化するもの。スカーフは、JALグループ各航空会社別に設定し、またスカーフと同じストライプをあしらったエプロンを新たに導入されます。
また、多様な働き方を実現するため導入されるパンツスタイルは、ワンピースと並んだ際に同じ印象となるバランスで実現したとしています。
地上接客部門
客室乗務員と共通の”Hybrid Modern Beauty”のテーマのもと、江角泰俊氏によるデザイン。鶴をイメージした曲線的フォルムによりエレガントさを表現しつつ、さまざまな動きでも美しい所作を維持できるようパターンメイキングを工夫しているとのこと。なお、客室乗務員の制服と同様にロゴマークの「鶴丸」とブランドカラーが活かされています。
スカーフは、大判を整形したロングタイプ。江角氏の手書きによる花を満開にあしらい、約20色の色づかいで空港をはじめとするシーンで華を添えています。また、新たに導入するワンピーススタイルは、構築的で現代的な美しいシルエットでありながら、動きやすさを追求したとのこと。
ラウンジスタッフの制服は、やわらかなピンクベージュにノーカラーのダブルのジャケットで、ラウンジにふさわしい雰囲気を演出しているとしています。
接遇スタッフの制服は、特別感を醸し出すクリームベージュに、テーラードカラーのダブルのジャケットで、上質なフォーマル性を演出しているとのこと。
運航乗務員
男女共用デザインは、従来と同様のJALグループ伝統のデザインとしつつも、動きやすさを重視したパターンの変更などにより、機能向上を果たしたとのこと。
また、新たに導入される女性用デザインは、ジャケットをすっきりとしたシングルボタンとし、従来のネクタイに代わってスカーフを導入。折り鶴の展開図をモチーフとしたスカーフ図柄は、客室乗務員・地上接客部門同様に江角泰俊氏によるデザインです。
整備士
カバーオールは、デサントジャパン社によりデザイン。ロゴの鶴丸をイメージした大胆な切り替えのデザインに、スポーツウェアで培われた機能性を生かし立体的かつスタイリッシュなシルエットを実現し、美しく機能的な「パフォーマンスギア」としています。
雨衣や防寒衣などのアウター類は、モンベル社によるもの。登山・アウトドア同様に、豪雨・吹雪などの厳しい気象条件から身を守る優れた機能性と高い耐久性を実現しつつ、無駄を省き、使いやすさを突き詰めることで生まれる機能美を備えているとのこと。カラーは、墨色とし、鋭い洞察力、安心・安全への決意を表現しているとしています。
グランドハンドリングスタッフ
作業衣は、デサントジャパン社によるデザインで、整備士と共通したデザイン・品質・機能とし、カバーオールに加えて、多様な働き方に対応できるセパレートタイプの作業衣を新たに設定。加えて、酷暑への対応としてポロシャツが導入されます。
アウター類は、整備士同様のモンベル社によるもので、カラーは、エネルギッシュな赤色となっています。
かりゆしウェア
沖縄地区で夏季に着用するかりゆしウェアは、江角泰俊氏がデザイン監修。デイゴをはじめとする5つの沖縄の花を鮮やかな色彩で配置されています。沖縄らしい明るさや温かみのある「おもてなし」の想いを表現していることに加え、「現代的な新しさ」を感じられるデザインとしています。
今回より新たに運航乗務員にもかりゆしウェアを導入。前立てにさりげなく同じ図柄を使用しており、客室乗務員、地上接客スタッフとの統一感が演出されています。なお、全てのかりゆしウェアは、沖縄県内での生産を行なっているとのことです。
クリエイティブディレクター/デザイナー 江角 泰俊氏 略歴
江角泰俊(Yasutoshi Ezumi)
1981年 広島生まれ。「EZUMi(エズミ)」デザイナー。
ロンドン、セントラルセントマーティンズ美術学校卒業。コレクションブランドで経験を積む。
2010年 自身のファッションブランド「Yasutoshi Ezumi」を立ち上げ、JFW主催「第3回SHINMAI Creator’s project」に選出される。
2011年秋冬コレクションより、東京コレクションにて発表。
第10回ベストデビュタント賞ファッション部門受賞、第6回DHLデザイナーアワード受賞。
2018年ブランド名を「EZUMi」に変更。