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50周年のシャンプーハットに穴が空いた!? 水ぎらい卒業がコンセプトの「ピップ ステップ!シャンプーハット」が発売~“シャンプーハット離れ”対抗で守るから慣れるに

[2019/9/27 11:55]

 ピップが、「シャンプーハット」の発売50周年を記念して、シャンプーや水から子供を守るだけでなく、段階的に水に慣れていける設計が施された「ピップ ステップ!シャンプーハット」を2019年9月24日(火)にリニューアル発売しました。カラーはグリーンサイズで、頭囲47~51cmに対応しています。価格はオープン。

 発売から50年を迎え、3世代に愛され続けてきた「シャンプーハット」がリニューアル。昨今、「シャンプーハット」の使用経験者が減少傾向にある中、非使用者の理由として「使い続けるのが嫌」「水に慣れてほしい」という意見やニーズがあったとのこと。そこで、これまではシャンプーや水から「守る」ものだったシャンプーハットに、「楽しく水ぎらい卒業にチャレンジできる」という新コンセプトを導入。段階的に水に慣れていくことができる同社独自の「3ステップ卒業設計」を施した製品を開発したとのこと。

【シャンプーハットの非使用理由】※ピップ調べ 2017 年 12 月 n=208

 今までのリニューアルでは、商品のカラー変更やキャラクター変更などで商品設計自体は変更されませんでしたが、社内で「シャンプーハット」をアップグレードすることは、ベビー担当者の長年の課題として歴代の担当者が試行錯誤を繰り返したとのこと。

 しかし、リーズナブルな商品価格を保ちながら現行品以上の性能を出すことが難しいなどの様々な課題にぶつかり、斬新なリニューアルが実現できなかったそうです。今回は、シャンプーハット使用者の声を改めて読み直し、「水から守る」というシャンプーハットを「水に慣れる」という新発想で、現行品以上の製品機能を加えられる可能性を見いだし開発に着手したとしています。

 しかし、「水に慣れる」のは子供であるということから、子供の目線でどのように水が流れれば慣れていけるのか、またその流れを見る子供の目の間隔を考え、担当者の子供たちに繰り返しモニターをするなど多くの試作を繰り返すことで最終の商品設計に辿り着いたとしています。

 完成した商品のコンセプトや使い心地の確認は、大阪府内の保育園の親子にモニター調査に協力してもらい、8割以上が「気に入った!」と回答したとのこと。また、モニター後の感想では、「シャンプー後もずっとかぶっていた」「穴があいて水が落ちているのを楽しそうに見ていたので良かった」「子供が自分でシャンプーをする練習になるので買いたい」「返すものだと子供に伝えたら「え~」と残念そうにし、「買って!」と言われた」「とても楽しそうに自分で使おうとしていた」という好評だったそうです。

使用方法

シャンプーハット使い方紹介動画

【ステップ 水がかからない!】

 「うーたん」マークの▼シールにおでこを合わせると、お顔に水がかからないから、ママとお話しながら楽しくシャンプーができます。

【ステップ2 水に近づこう!】

 「ワンワン」マークの●シールにおでこを合わせると、水がしずくになって落ちてくるので怖がらずにがまんしよう。

【ステップ 3 水に慣れよう!】

 「ワンワン&うーたん」マークの■シールにおでこを合わせると、お顔に水が流れてきます。水がかかっても大丈夫になれば、水ぎらい卒業!

「シャンプーハット」50年の歴史

発売当時の「シャンプーハット」

 当時のお風呂文化は現代とは異なり、シャワーはなくお湯を桶から頭にかぶって、シャンプーも目にしみました。開発担当者は、自分の子供が髪を洗うのを嫌がる様子を見て「シャンプーが垂れてこないような帽子を作ったらどうか」と思い、試作に取り掛かりました。

 商品の形状は、トタン屋根のたわみを参考にして、水の重みに耐えられるように、丸くくりぬかれた頭部のフチも水が浸入しないように、そのサイズを決めるのに、近所の何百人もの子供の頭をメジャーで測って直径を決め、今回のリニューアルに至るまで、形状は発売当時のまま、当初から完成度が高く、考え尽くされた形状であったといえます。

 苦労を重ねて作った「シャンプーハット」ですが、問屋からは「プラスチックの帽子なんか売れないよ」という声が出たり、百貨店や薬局薬店では取扱を拒まれることも多くあったとのこ。社内の評判も芳しくなく、最初は売れず、外部に委託した月産3万枚の商品はたちまち在庫の山となってしまい、開発担当者自ら、百貨店のベビー売り場で商品を頭にかぶって説明するなど孤軍奮闘しました。

 当時の開発スタッフは、「百貨店のベビー売り場が一番恥ずかしかった。売りたい気持ちはあるが、かぶっていると笑われ、でも手にぶら下げていても何の商品か分からないので」と当時の苦労を語っています。

 しかし、その頑張りも虚しく、成果はなかなか上がらず、昭和45年4月、テレビCMを制作して放映する苦肉の策に打って出ることに。ピップにとって、これが初めてのテレビCMとなり、捻出できる広告費には限界があったので、一番安い時間帯に1日1回、25日間放映するのがせいぜい。大きな宣伝効果は期待すべくもありませんでしたが、朝のラジオ体操の時間帯にCM放映したことで、購入決定者の母親ではなく、子供たちから「買って!」と人気に火がつきました。小売店から問い合わせが相次ぎ、同年11月には月産100万枚の大台へと一気に駆け上がりました。

シャンプーハット商品紹介動画
[古川 敦]