ライフ

子供用ライフジャケットで24時間浮くと不当表示 東京都がラムセスに措置命令~合理的な根拠を示す資料の提出できず

[2019/12/19 19:48]

 東京都が18日、子供用ライフジャケットの浮力について不当な表示を行なっていたとして、株式会社ラムセス(大阪府東大阪市長田東四丁目5番15号)に対し、景品表示法第7条第1項の規定に基づき、2019年12月17日に措置命令を行なったと発表しました。

 対象商品は「ジュニア用フローティングベスト」と称する子供用ライフジャケット(型番:ラムセス LJ-1007)で、平成22年11月19日から令和元年8月30日までの間、商品添付の取扱説明書に「もちろん、浮力については、運輸省『小型船舶安全規則』に定める、7.5キログラム/24時間(小児用は5キログラム)以上の性能を備えています。」と記載しており、あたかも、小型船舶安全規則に定める5キログラムの質量の鉄片を淡水中で24時間以上支えることができる浮力を備えているかのように表示されていました。

 東京都が、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、期間内に資料を提出しなかったとのこと。

 株式会社ラムセスでは、改善策として「日本の製品安全試験センターに浮力検査を依頼して、近日中に正確な浮力を公示する」としています。また、「今後は、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有した上で、誤った表記などが行われないよう、また商品を製造する際、役員、従業員一人一人が誤表示などがないか確認し、工場への指導も徹底するなど、再発防止に努めていく」とのことです。

 東京都が行なったアンケート調査では、ライフジャケットを購入する際に重視する点として「浮力」を挙げる消費者は半数を超えていたとのこと。ライフジャケットにおける浮力など、消費者が商品を選ぶ重要な基準となる品質などについて、実際のものなどより著しく優良であると誤認される表示は景品表示法で禁止されています。

 なお、ライフジャケットの品質を判断する目安があり、表示された浮力を満たさない場合、水面に浮上する部分が減少するなどのおそれがあります。ライフジャケットの品質を判断する目安の例としては、一定の機能が担保されているマーク付きのライフジャケットがあり、桜マーク(国土交通省の型式認定承認(船舶用))や第三者機関による性能鑑定マーク、団体の認定マークがついていることも、品質や使用場面を判断する参考になります。

参考1 小型船舶安全規則 抜粋

(小型船舶用救命胴衣)
第五十三条 小型船舶用救命胴衣は、次に掲げる要件に適合するものでなければならない。

一 適正な工作方法及び材料で作られたものであること。
二 軽量でかさばらず、かつ、柔軟で着用者の身体によくなじむ構造であること。
三 容易に着用でき、かつ、誤つた方法で着用されないように作られたものであること。
四 着用した状態で船内活動を行うのに支障がなく、かつ、なるべく通気性がよいものであること。
五 七・五キログラム(小児(一歳以上十二歳未満のものをいう。以下同じ。)用の小型船舶用救命胴衣にあつては、体重が四十キログラム未満の小児用のものは五キログラム、体重が十五キログラム未満の小児用のものは四キログラム)の質量の鉄片を淡水中で二十四時間以上支えることができること。
六 非常に見やすい色のものであること。
七 通常の環境条件及び油又は油製品により急激な強度劣化及び浮力変化のないものであること。
八 水中において、顔面を水面上に支持し、身体が垂直よりも後方に傾き、安全な浮遊姿勢となるように作られたものであること。
九 耐食性材料で作られた笛がひもで取り付けられていること。
2~5 (省略)

[古川 敦]