「東急ハンズ」がカインズに譲渡 譲渡価は非公表~「東急グループでは提供価値、事業価値の最大化を図ることは困難であると判断」。業績低迷から脱却を目指したものの新型コロナ感染拡大によりの環境変化が加速
東急不動産ホールディングス株式会社が22日、100%連結子会社である株式会社東急ハンズの発行済株式の全部と、ハンズに対して同社が有する貸付債権を株式会社カインズに譲渡すると発表しました。なお、譲渡価額については、カインズの要請により非公表とのことです。
また、今回の譲渡に伴い、ハンズは東急不動産ホールディングスの連結の範囲から除外される予定で、同社の役員を兼任している役員4名は、譲渡の実行予定日である2022年3月31日までにハンズの役員を退任する予定とのことです。
「ハンズ」は、1976年に同社グループの中核会社である東急不動産の100%子会社として創業。「手の復権」を掲げ、DIYを中心とした提案型ライフスタイルショップとしてスタートし、時代の流行と旬を独自の目線で編集する「CREATIVE LIFE STORE」として、常に新しい発見を提供してきたとのこと。
幅広い品揃えと豊富な商品知識に基づいた丁寧なコンサルティングセールスという小売業としては独自のスタイルにより、一人ひとりの自分らしいライフスタイルの実現を手伝うことで、現在、国内海外合計86店舗(FC24店舗を含む)まで業容を拡大し、唯一無二の小売事業者としての地位を確立するとともに、全国的な知名度を活かし、東急ブランドの価値向上にも多大な貢献を果たしたとしています。
一方で、近年、小売業界を取り巻く環境は大きく変化し、国内の小売市場は少子高齢化やお客さまの行動変容などを背景として飽和状態が常態化するなか、EC化が進行し、競合他社が台頭するなど、競争は激化の一途にあり、ハンズにおいても、業績低迷から脱却し、価値提供を拡充するためにも、「PB商品の開発強化」、「EC取引の拡大」、「FC展開の加速」などの様々な施策に取り組み、グループを挙げて再建に向けて支援してきたものの、新型コロナウイルス感染症の拡大により小売業界の環境変化が益々加速することになったとのこと。
こうした状況下で、同社は、グループの経営資源による再構築では、ハンズの提供価値及び事業価値の最大化を図ることは困難であると判断し、新しいパートナーへの売却を含めた幅広い選択肢を検討。ファイナンシャルアドバイザーを選定して広く入札手続きを実施し、複数候補者からの提案を受けて慎重に検討を重ねた結果、ハンズの今後の成長に資するカインズからの提案及びその後のカインズとの協議を踏まえ、カインズがハンズのベストオーナーとなり得ると判断し、譲渡することを決定したとしています。
カインズは、競争の激しい小売業界において右肩上がりの成長を続けるトップ企業グループであり、「くらしに、ららら。」を企業理念として掲げ、DIY文化の推進を標ぼう。「生活文化の創造」を企業理念とするハンズと価値観を共有し、両社の特長や強みを融合しながら、日本におけるDIY文化の共創という新しい価値創造を企図することができるとしています。
また、ハンズの課題であるPB商品やDXの分野で最先端を走るカインズの下で、カインズのリソースとノウハウを活用し、両社にとって最大限のシナジー創出を追求することにより、ハンズは提供価値の最大化とサステナブルな成長を実現できると考えているとのことです。