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Nスペ新シリーズは「AKIRA」の世界観のもと東京の進化と再生を描く! シリーズ「東京リボーン」がスタート~大友克洋氏ら「AKIRA」に携わったクリエイターが再結集

[2018/12/23 19:35]

 NHKスペシャルの新シリーズ「東京リボーン」が、12月23日(日)21時からスタートしました。再放送は12月26日(火)24:40。

 2020年に向け、進んでいる東京の大改造。戦争からの復興、高度成長期に続く3度目の大変貌に、世界も注目。先進国のトップを切って「超高齢化」「低成長」の試練に直面する日本の首都・東京の街づくりは、世界各国`の巨大都市が今後取り組まざるをえない都市開発のショーケース。

 新シリーズ「東京リボーン」では、人々の頭脳戦、人間ドラマを織り交ぜながら、巨大開発の壮大なスペクタクルが6回シリーズで描かれます。


 30年前、大友克洋氏が生み出し、世界が熱狂したSFコミック「AKIRA」は、刻一刻と変貌する現在の東京の姿を予言したかのように、翌年にオリンピックを控えた2019年の東京を舞台に若者たちがもがきながら未来を探す物語でした。

 今回、この「AKIRA」の制作に携わったクリエイターたちが番組のために再結集。タイトル映像のデザイン監修は、漫画家・大友克洋氏。芸能山城組の組頭をつとめる作曲家・山城祥二氏、題字は、「AKIRA」の文字も手がけた劇画家・平田弘史氏です。

 第1集「ベイエリア 未来都市への挑戦」で取り上げるのは、15のオリンピック施設が集中するベイエリア。バレーボール会場となる「有明アリーナ」と水泳会場となる「アクアティクスセンター」は、いずれも災害対策と省エネを極限まで追求した巨大建築。前代未聞の建物だけに、工法は世界でも画期的で、工事はとても難しい……。


 「AKIRA」の世界観のもと、ふたつの究極のエコスタジアムの巨大天井取り付けの一大スペクタクルを軸に、未来都市への実験満載のベイエリアの大変貌が描かれます。出演は大友克洋氏、語りは神田松之丞さん、松坂桃李さん。

大友克洋氏のコメント

【漫画『AKIRA』について】
漫画の『AKIRA』は、自分の中では、世界観として「昭和の自分の記録」といいますか。戦争があって、敗戦をして。政治や国際的ないろいろな動きがあり、安保反対運動があり、そして東京オリンピックがあり、万博があり。

僕にとって東京というのは昭和のイメージがものすごく大きいんですよね。

登場人物たちはみんな若者にしました。なにもわからない、ただ単に暴走して、つまんない世界にいる人間たちを主人公にして、東京の中のいろんな政治や、大きな秘密の中に触れながら、どうしようもない若者たちが少しは成長していくという話を作ったんです。

話はSFなんですけど、少しずつ自分たちで何かを見つけるんだよというメッセージは描きたいなと思っていました。それは、社会に参加して、または世界に参加して、自分たちで自分たちの道を発見する話なんです。悲劇だったり、喜劇だったり、いろんなことがあるんですけど、自分たちが見つけたもの、そして、自分たちがこれからなんかやってくんだよというメッセージは込めました。

【東京について】
東京好きですよ。すごく好きなんです。
東京は、常に変化している。都市は生きものだから、それはしょうがないんじゃないですか。だから人々の生き方やスタイルが少しずつ変わっていくんじゃないでしょうか。

新しい東京を、新しい人たちが創っていくべきだと思います。

これが今回の番組の、テーマなんじゃないかなと思っています。昭和の残滓ざんしを全部切り捨てて、新しいものを作り上げるということ。東京はいつもそんなふうでなきゃいけないんですよ。

山城祥二氏のコメント

【『AKIRA』と現代の東京のシンクロ感について】
私たちが30年前に作った世界と時間があまりにも接近してて、何だかちょっと不思議な感じがしています。
(30年前に『AKIRA』の音楽を作った当時は)“全く誰も聴いたことのない音楽”なんて、いい意味でも悪い意味でも言われていましたけれど、今になって聴いてみると、ちょうどよかったみたいな。不思議に今の感覚に一致していることは、本当に私も感銘を受けています。

【今回の番組について】
私にはとっても共感する作りで、すばらしいです。今のテレビの世界をちょっと超えています。
大友さんと『AKIRA』を作る際に話して意見が一致したことの一つに、“音楽と現実音との境界を取っちゃおう”ということがありました。音とか雑音といわれるようなものを音楽すれすれのところで表現し、クロスオーバーの部分が強調されてもいいと思ったんです。いつものテレビでも、聴いたことがない音、見たことのない絵っていうようなものがあってもいいんじゃないでしょうか。

松坂桃李さんのコメント

 映像を見て、東京が変わっていく様に衝撃を受けました。実家(神奈川県)にいるときは東京は“遠い場所”というイメージが強かったんですけど、この街まちで仕事をするようになってから身近に感じはじめています。「東京リボーン」シリーズは6回続きますが、街が進化し続けていく姿をこれから“目撃”していくのが楽しみです。自分自身も視聴者の皆さまと同じ目線で、3年間を一緒に走り抜けていきたいです。

[古川 敦]