朝日新聞が27年ぶりに税込4,400円に値上げ 前回の値上げから部数は約4割減、広告収入も減る一方、製作コストは高くなり経営努力も限界~「フェイクニュースが飛び交う今、新聞の役割は増している」
朝日新聞社が10日、朝夕刊月ぎめ購読料を、2021年7月1日(木)から現在の4,037円(税込)から4,400円(税込)に値上げすると発表しました。また、1部売りの税込価格も朝刊は160円(現行150円)、夕刊は60円(現行50円)に値上げされます。
「朝日新聞」の消費税を除く本体価格の改定は1993年12月以来、27年7カ月ぶりとなります。朝刊部数は現在の価格となった1993年12月は約820万部だったものが、2020年8月には500万部を割っているとのことで、同社では「本紙のご負担をお願いするのは誠に心苦しい限りですが、一層みなさまのお役に立てるよう、紙面づくりに全力を尽くします。引き続きのご愛読をお願い申し上げます」としています。
なお、10月からは紙面購読者が朝日IDを登録すると、朝日新聞デジタルの「紙面ビューアー」を無料で利用できるようになるとのことです。「紙面ビューアー」では、スマートフォンやパソコンで紙面と同じレイアウトの記事が読めます。
値上げに至った経緯について同社では、「記者が一つひとつ事実を確認しながら、くらしや仕事に役立ち、日々を豊かにする情報をお伝えしようと努めています。購読料を据え置きつつ、良質な紙面を変わらずお届けできるよう、新聞製作の合理化、人件費や経費の節減を進めてきました。しかし、販売・広告収入が減る一方、製作コストは高くなり、深刻な人手不足などで戸別配達を維持することも難しくなってきました。全国の多くの新聞社が購読料をすでに見直している中、当社も長年の経営努力が限界に達し、ご負担をお願いせざるを得ないと判断しました」と説明。
また、「ネット上にフェイクニュースが飛び交う今、新聞の役割は増していると考えています。事実を正確に報じるという報道機関の使命を肝に銘じ、新聞を広げるのを楽しみにお待ちいただけるよう、内容とサービスを一層充実させてまいります」としています。
朝日新聞社のコメント
当社は、記者が一つひとつ事実を確認しながら、くらしや仕事に役立ち、日々を豊かにする情報をお伝えしようと努めています。隠れた事実を掘り起こす調査報道に力を入れるとともに、週末別刷り「be」や「GLOBE」を発行するなど紙面の拡充にも取り組んでまいりました。質の高い新聞づくりのためにシステムへの投資も続けています。
購読料を据え置きつつ、良質な紙面を変わらずお届けできるよう、新聞製作の合理化、人件費や経費の節減を進めてきました。しかし、インターネットの普及で新聞事業を取り巻く環境が厳しさを増し、販売・広告収入が減る一方、製作コストは高くなっています。深刻な人手不足などで戸別配達を維持することも難しくなってきました。
新聞業界全体が同じような状況で、全国の多くの新聞社が購読料をすでに見直しています。当社も長年の経営努力が限界に達し、ご負担をお願いせざるを得ないと判断しました。
ネット上にフェイクニュースが飛び交う今、新聞の役割は増していると考えています。事実を正確に報じるという報道機関の使命を肝に銘じ、新聞を広げるのを楽しみにお待ちいただけるよう、内容とサービスを一層充実させてまいります。ご理解をお願いいたします。
朝日新聞社