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定形郵便が最大31%値上げの110円、ハガキが34.9%値上げの85円 総務省が価格改定省令案の意見募集~郵便事業が民営化以降初めて赤字に。「安定的な提供を継続するためには、早期の郵便料金の見直しが必要」

[2023/12/18 15:13]

 総務省が18日、郵便の役務の安定的な提供を継続するため、郵便法施行規則(平成15年総務省令第5号)で定める第一種郵便物のうち25グラム以下の定形郵便物の上限料金の額を「84円」から「110円」に改正する内容を、情報通信行政・郵政行政審議会に諮問した発表しました。この上限の見直しに伴い、定形郵便物と同じ大きさ・形状の信書便物の料金の上限額を「84円」から「110円」に改正するとしています。

 この省令案について、2023年12月19日(火)~2024年1月22日(月)まで意見を公募。提出された意見や情報通信行政・郵政行政審議会への諮問に対する同審議会の答申を踏まえ、省令の改正が行なわれる予定としています。なお、改正に当たっては、物価問題に関する関係閣僚会議にも付議される予定です。

 現時点の想定では、第一種定形郵便物の25gまでの区分をなくし、50gまでに統合、110円(税込)に統一されます。そのため、25gまでは現行の84円(税込)から31%の値上げ、50gまでは現行の94円(税込)から17%の値上げとなります。また、郵便はがきについても、現行の63円(税込)から85円(税込)に34.9%値上げされるほか、定形外、特殊取扱なども約30%の値上げ率を基本とするとしています。ただし、レターパックや速達などの一部郵便物は特に利用者利便などの観点からより低い値上げ率を想定しているとのことです。

 日本郵便株式会社の2022年度の郵便事業の営業損益は-211億円と、民営化以降初めて赤字となり、同社では「郵便物数は平成13年度をピークに毎年減少しており、日本郵便では郵便の利用拡大の取組などを行なってきたものの、社会全体としてデジタル技術の活用が急速に進んでいる昨今の状況を踏まえると、郵便物数は今後も大きな減少が見込まれ、営業収益の減少傾向が継続することが見込まれる」と分析しています。

 また、今後も、郵便の利用拡大や業務効率化に向けた更なる取組を推進するものの、郵便事業の営業損益の見通しは非常に厳しく、郵便事業の安定的な提供を継続するためには、早期の郵便料金の見直しを行なう必要があると、今回の値上げの理由を説明しています。

料金改定の全体像(現時点の想定)

 上限額が「110円」の場合に日本郵便が想定する主な料金改定は以下のとおり。

・第一種定形郵便物(25g) 84円→110円(+26円(+31.0%)) <上限を省令で規定>
         (50g) 94円→110円(+16円(+17.0%)) <届出>
・第二種郵便物(通常葉書)63円→ 85円(+22円(+34.9%)) <届出>
・その他(定形外、特殊取扱等)は、+約30%の値上げ率を基本。
(ただし、レターパックや速達等の一部郵便物は特に利用者利便等の観点からより低い値上げ率を想定)

※最終的な料金改定は、日本郵便からの届出により確定。(第三種・第四種の料金変更は認可)
※第三種郵便物・第四種郵便物及び2023年10月に料金改定を行なった書留等は据え置きを想定。
※サービス改善の一環として重量区分を1区分に統合

[古川 敦]