丸亀製麺などグループの店長の年収を最大2,000万円に トリドールHDが「心的資本経営」を始動~従業員の子供がグループ店舗でいつでも無償で食事できる「家族食堂制度」も導入
トリドールホールディングスが17日、人的資本経営をさらに深化させた独自の経営手法として、人の“心”を起点とする「心的資本経営」を2025年9月より始動すると発表しました。
「心的資本経営」とは、「従業員の“心”の幸せ」と「お客様の“心”の感動」を共に重要な資本ととらえ、どちらの“心”も満たし続けることで持続的な事業成長を実現する新たな経営思想とのことです。「従業員の“心”の幸せ」と「お客様の“心”の感動」による好循環づくり、そして永続的な人材確保や離職率の改善、求人や教育コストの削減、お店の地元への地域貢献など、様々な価値を長期的に生み出し、グループ全体で持続的な事業成長を目指すとしています。
心的資本経営を体現する実践モデル「ハピカン繁盛サイクル」
「心的資本経営」の起点に据えるのが、従業員の“幸福実感”=「ハピネス」。従業員が心から幸福感を持って働ける職場環境が整うことで、自らが考え行動するという内発的動機が育まれ、そして、この内発性こそが、顧客に「感動」をもたらす体験を生み出す原動力であると考えているとのこと。
顧客の感動体験が積み重なることで支持が高まり、店舗の持続的な「繁盛」へとつながり、さらに、その成果を従業員へ適切に還元することで、再びハピネスが高まり、感動体験の質が深化していくという好循環が形成されるとしています。
「心的資本経営」は「ハピネス(幸福)」と「カンドウ(感動)」の頭文字を組み合わせた「ハピカン経営」という呼称で既に全従業員に共有されており、このトリドール独自の実践モデルを「ハピカン繁盛サイクル」と定義されています。
【心的資本経営を推進する取り組み】店長制度から「ハピカンオフィサー」制度へ 成果に応じて最大年収2,000万、大きな貢献に大きく報いる報酬体系も構築
心的資本経営を具現化するために、同社は従来の店長制度を刷新し、新たに「ハピカンオフィサー制度」を導入。ハピカンオフィサー制度は、店舗での「ハピカン繁盛サイクル」の実現が主たる役割になるとのこと。
従来店長が担っていたオペレーション業務の一部は他メンバーへ移管。店舗で働く従業員一人ひとりの内発的動機を引き出し、お店独自の感動体験の創造をリードする役割へとシフトし、報酬制度も抜本的に見直されます。ハピカン繁盛サイクルの実践レベルに応じて報酬が変動し、最大で年収2,000万円を得られる制度として大きな貢献に大きく報いることを可能にする報酬体系を構築するとしています。
丸亀製麺においては「ハピカンキャプテン」という呼称で、2025年11月からの導入に向けて研修等を進めており、今後、国内その他業態へも展開し、2028年には丸亀製麺で300名のハピカンキャプテンを育成予定とのことです。
【心的資本経営を推進する取り組み】従業員の子供を対象とした「家族食堂制度」
従業員本人だけでなくその家族にも温かな体験を届けることを目的とした新制度「家族食堂制度」も開始。
本制度は、トリドールグループの店舗で働く従業員の家族(15歳以下)を対象に、所属するブランドの全国のお店で、いつでも無償で食事を楽しめる機会を提供するもの。家族との団らんの時間づくりや従業員の子育て支援、職場への理解を深めるきっかけとして導入するとのこと。2025年12月から丸亀製麺・天ぷらまきの・焼き鳥とりどーる・長田本庄軒・とんかつとん一で導入を開始し、その後他ブランドへの展開も視野に入れているとしています。なお、ブランドごとに利用条件があるとのこと。
同社では「家庭とのつながりを企業として支えることで、従業員一人ひとりの安心感や幸福感の向上につなげるとともに、企業と従業員の関係を個人から家族単位へと広げていくことを目指します」としています。
【心的資本経営を推進する取り組み】国内初、音声対話型AIを活用した独自指標「ハピネススコア」導入
従業員の心の状態を可視化し、「感動」と「繁盛」の相関分析で好循環を裏付け心的資本経営の基盤を支えるデータサイエンスとして、同社は独自指標「ハピネススコア」を設計・導入。丸亀製麺では、2024年4月から利用者の食後の感情をアンケートによって「感動スコア」として可視化し、2025年7月からは店舗で働く従業員の心の満足度を計る「ハピネススコア」を導入、従業員と顧客双方の“心の状態“を可視化し、業績との相関・因果関係を複数の統計手法を用いて明らかにするとのこと。
初期分析では、ハピネススコアが高い店舗ほど感動スコアが高く、業績への貢献が明確に現れる傾向が確認されており、今後はこの成果をさらに深掘りした詳細とハピカンアクションを促進するデータサイエンスの活用を発表予定としています。
トリドールHD代表取締役社長 粟田貴也氏のコメント
省人化が進む時代だからこそ、「人の力」が唯一無二の感動を生む源泉だと信じています。「心的資本経営」を通じて、従業員の幸福とお客様の感動が循環する仕組みを育み、これからも「食の感動で、この星を満たせ。」という私たちの使命を追求していきます。