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「人間失格」の味とは!? NECのAIと珈琲のプロがコラボしたブレンドコーヒー「飲める文庫」が本日27日(金)発売~島崎藤村/太宰治著/夏目漱石/森鴎外の読後感をコーヒーで再現

[2017/10/27 11:55]

 日本電気(NEC)とコーヒー豆専門店のやなか珈琲が、AI(人工知能)と各豆の本来の風味や味わいの味覚を検査する専門職「カップテスター」のコラボレーションにより、名作文学の読後感をコーヒーの味わいで再現したブレンドコーヒー「飲める文庫」を開発。やなか珈琲店の店舗で「読書の日」の2017年10月27日(金)~11月30日(木)より期間限定で販売します。

 対象の名作文学は「若菜集」(島崎藤村著)、「人間失格」(太宰治著)、「吾輩は猫である」「こころ」「三四郎」(夏目漱石著)、「舞姫」(森鴎外著)。価格は950円/100g(税込)。

 また、文庫本サイズのケースに入った「6作品飲み比べ ドリップバックセット」(税込2,340円)も用意されます。

 「飲める文庫」は、NECのデータサイエンティストが、文学作品に関する1万件以上のレビュー文(読後感)をコーヒーの味覚指標(苦味/甘味/余韻/クリア感/飲みごたえ)に変換した学習データを作成し、NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」の一つであり、ディープラーニング(深層学習)技術を搭載したソフトウェア「NEC Advanced Analytics - RAPID機械学習」に学習データを投入し、分析モデルを作成。

 分析モデルを用いて6点の名作文学のレビュー文を分析し、味覚指標のレーダーチャートをそれぞれ作成し、そのレーダーチャートをレシピとして、やなか珈琲店のカップテスターが6種のブレンドコーヒーを考案・開発したとのこと。NECでは、同社のAI技術力や人とAIの協調を身近に感じてもらうため「飲める文庫」を開発したとしています。

 学習データにおける味覚指標とレビュー文は「苦味:悲しい結末だった。切なさが湧きあがってきた」、「甘味:青春時代の懐かしさを感じた」、「余韻:人生について考えさせられる一冊だった。心に残る素晴らしい作品だった」、「クリア感:テンポが良く爽快で一気に読めた」、「飲みごたえ:読むのに時間がかかったが十分楽しめた」などとなっています。

 開発者(カップテスター)は、「約30種類の国と地域、スペックの違うコーヒーの中からAIが導き出した味の指標を基に、それぞれのブレンドの違いを明確にするため試行錯誤を繰り返しました。人の味覚だけで6種類の味の差を表現することは簡単ではないので、それぞれのコーヒーの味から文学の世界がイメージ出来たら、素晴らしい試みだと思います」と語っています。

「若菜集」島崎藤村

 代表作「初恋」をはじめとした、叙情的世界を開花させた島崎藤村の第一詩集をコーヒーに。タンザニア産のほのかな甘味を伴った酸味にコロンビア産の滑らかなコクをプラス。青春のみずみずしい感情を思いだす、藤村の詩を再現した、爽やかな酸味とクリアな味わいが特徴のコーヒー。

コーヒー豆:タンザニア/コロンビア/ニカラグア
ロースト:ミディアムロースト

「人間失格」太宰治

 人を理解することができず、ついに自らに「人間失格」の烙印を押してしまう主人公の物語をコーヒーに。高地産アラビカ種などをベースに、スムーズな飲み口のペルー、スッキリとした苦味のブラジルをブレンド。淡々と語られる人間の弱さを、滑らかな口当たりで飲み易く、質の高い豊かな苦味で表現したとのこと。

コーヒー豆:コロンビア/ブラジル/ペルー
ロースト:フルシティロースト

「吾輩は猫である」夏目漱石

 主人とその書斎に集まる個性的な人々の人間模様を、「吾輩」という猫の視点で描いた漱石の代表作をコーヒーに。クリアで高品質なコーヒー産地コスタリカの豆にブラジルとグァテマラの豆を加え、風刺的でおかしみのある猫の語りを、ほろ苦さと甘味、香ばしくキレのある後味で再現したとのこと。

コーヒー豆:コスタリカ/ブラジル/グァテマラ
ロースト:シティロースト

「こころ」夏目漱石

 愛のために友を裏切った過去の罪を背負い、囚われつづけた男の物語をコーヒーに。質感の高い濃厚なボディのインドネシア産マンデリンにブラジルのキレのある苦味をプラス。まとまりのある深いコクと満足感のあるボディから、誰のこころにも潜み、いざというときに現れる苦々しい人間のエゴが垣間見えるとのこと。

コーヒー豆:インドネシア/ブラジル/グァテマラ
ロースト:イタリアンロースト

「三四郎」夏目漱石

 田舎から上京した青年が抱いた、淡い恋の物語をコーヒーに。ナチュラル処理したエチオピア産の明るい酸味に、コロンビア豆の質の違う柔らかな酸味をプラス。苦味を抑えた味わいに。芳醇な赤ワイン思わせる風味にひそむ心地よい甘さが、思わせぶりな女性に翻弄される甘酸っぱい青春の日々を思い起こさせるとのこと。

コーヒー豆:エチオピア/コロンビア
ロースト:ミディアムロースト

「舞姫」森鴎外

 留学先で知り合った踊り子との恋情と、自らの将来との間で揺れ動く主人公のロマンスをコーヒーに。伝統的な味わいになるよう非水洗処理したブラジル豆に、甘味の強い東ティモール産をプラス。美しい文体で描かれた若い恋が、チョコレートの様な甘味と滑らかでソフトなボディでよみがえります。

コーヒー豆:ブラジル/グァテマラ/東ティモール
ロースト:フレンチロースト

[古川 敦]