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創業118年のレナウンが民事再生手続開始 負債総額は約138億円~売上低迷中に、新型コロナがダメ押し。5月中旬以降に到来する債務の支払の目処が立たない事態に

[2020/5/15 23:37]

 レナウンが15日、東京地方裁判所より再生手続開始決定および管理命令を受けたと発表しました。負債総額は約138億円。なお、同社の子会社各社については、民事再生手続などの法的整理は予定されていないとのことです。今後、管財人の下でスポンサー探索を行ない、当社グループの事業の維持再生に取り組むとしています。

 レナウンは、1902年の創業以来、アパレル関連製品の企画・製造・販売を手掛け、全国の百貨店・量販店・衣料品店などに対して卸売事業を行なうほか、直営店において小売事業を行なっています。社名は1922年に当時、繊維産業の先進国であったイギリスの皇太子が来日した際の巡洋艦の名前から付けられています。

 同社は、近年の消費者の衣料品に対する購買行動の多様化、節約志向による家計に占める衣類の支出割合の低下などに伴い、売上高が低迷していました。2010年には中国の繊維会社大手、山東如意グループ(山東省)の傘下に入り、連結子会社となりましたが、2020年5月15日にグループ会社が東京地方裁判所に民事再生法の適用を申し立て、民事再生手続きに入りました。

 同社は、2019年8月に中期経営計画「Target 2023」を策定し、「お客様と深く結びつく」、「新たなお客様との出会いを増やす」、「お客様との継続的な繋がりを支える基盤を構築する」との基本方針の下、主力事業等への選択と集中、サブスクリプションサービス「着ルダケ」事業の本格化およびEC事業の強化、不採算・低効率な売り場の見直し等からなる効率的な経営の追求等を目指していました。

 しかし、2019年12月期においては、消費税増税による消費低迷、夏季の台風による店舗休業、記録的な暖冬による防寒衣料の不振などにより、主力販路である百貨店向け販売が苦戦し、自助努力による経営改善によってはこれらの悪影響を吸収するには至っていないとしています。

 そうした中、親会社である山東如意科技集団有限公司の子会社である恒成国際発展有限公司に対する 2019年12月期中に支払期日の到来する売掛金の回収が滞ったことにより、同期に貸倒引当金繰入額53億2,400万円を計上し、83億900万円の営業損失を計上することとなりました。

 また、この売掛金の回収遅滞にともない、同期中に入金されるはずであった同額が入金されないこととなったため、同社の2019年12月期の現金および現金同等物の期末残高は14億1,800万円(2019年2月期の同残高比△32億2,700万円)まで落ち込むこととなりました。

 これに加え、2020年3月以降は、新型コロナウィルスの感染拡大により全国の百貨店・量販店などで営業自粛の動きが広がり、消費者の巣ごもり傾向および不要不急の外出控えによる購買行動の変化のため、著しい販売減少を来たしています。

 2020年4月7日には、政府より7都府県に緊急事態宣言が発令され、16日にその対象地域が日本全国に拡大したことに伴い、百貨店・量販店・ショッピングモールがほぼ全店休業となり、同社は2020年春夏物の商品につき、主力販売チャネルでの販売ができないこととなりました。

 この間、同社は資金の調達および売掛金の回収に注力したものの実現せず、5月中旬以降に到来する債務の支払の目処が立たない事態となったことから、今般やむなく民事再生手続開始決定を受けることになったとしています。

[古川 敦]